今は考えるとつい3月初旬までは目が腐るぐらい映画が観られた。今になって幸せだったことを身にしみて感じている。
DVD『人生ごっこ⁉︎』林弘樹監督/80分/2009年
保険会社に勤めるサラリーマンの飛賀渡(根本博成)は朝からどうも調子が悪かった。
大事な書類に水をこぼしたり、人にぶつかったり、はたまた靴底にチューインガムが張り付いていたり散々な一日の始まりだった。
だがこれだけですまなかった。会社の近くでサラリーマンたちが空を見上げていて不思議に思って上を見たら、そこに大型冷蔵庫が……でお亡くなりになったのだ。自分が死んだことも理解できなくて目覚めてみたらとある学校の校庭だった。

これはシネマジャーナルのSさんから頂戴したDVD。全体的に見るとそうオススメという感じではない。でも映画の導入がとてもユニークで引き込まれた。
そこは「魂」の学校で死者が「死者として」生まれ変わる場所だった。講堂に集まっている人は皆ある事情で死んだ人だ。そこには会社の上司・谷崎部長もいた。
皆それぞれ校長(峰岸徹)の教えを素直に聞くが、飛賀だけは「自分の死」を受け入れられなくて反抗的になるのだ。その「もがき」も想定内ではあるが、彼が生きていた時には知り得なかった「真実」を知らされて、自分が幸せだったことを噛み締めるくだりにはホロッとさせられた。
★ 監督さんは黒沢清、和田誠、北野武のもとで助監督をされてい方。
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