🎬『ナンシー』クリスティーナ・チョウ監督/アメリカ/86分
人付き合いが苦手で虚言癖のあるナンシー(アンドレア・ライズボロー)は、他人の関心を集めようと嘘ばかりついていた。
ある日、彼女は5歳で行方不明になった娘を探す夫婦をテレビで見て、「娘が生きていたら、きっとこんな顔になっている」と想像したものが自分と似ていることに気付いて……。
クリスティーナ・チョウ監督の初長編作品。サンダンス映画祭で脚本賞を受賞しただけあって、娘であるかもしれないナンシーに探りを入れる夫婦との会話にも絶妙な「もどかしさ」が含まれていた。
ナンシーは嘘つきだが「嘘であっても居心地良さを一瞬でも感じていたい」という願望は、私たちが幸せを願望するのと違わないのではと思った。
彼女は、すぐに夫婦に電話をして「会ってほしい、自分があなたたちの子かもしれない」という。そして家に訪ねて行く。
夫にスティーヴ・ブシェミさん、妻(J・スミス=キャメロン)が信じ切っていくのを「冷静になって」と抑えていたが、ナンシーのある一言で父親も雲が晴れるように娘と信じる一瞬があった。親としてはたまらないシーン。この1シーンのために監督さんはブシェミを起用したのではと思った。
2020年03月06日
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