シナン(アイドゥン・ドウ・デミルコル)は大学を卒業してトロイ遺跡のそばにある故郷に戻って来た。彼の夢は小説家になること。すでに書き終えたものを出版しようと計画していた。出版社や補助金を出してもらうために行った役場では話は聞いてくれるが、あと一歩の具体案は出ず、作家の夢は遠のいて行った。
家計の貧しさも頓着せず賭け事をする引退間近の教師•父イドリス(ムラト・ジェムジル)とは性格が合わなかったが、井戸掘りの手伝いなどしているシナン。父と同じ教師になることに抵抗を感じながらも、教員試験を受けに行くが……。

『雪の轍』の監督さん。この新作は去年シドニーで観た。英語字幕が早く消えるので二回続けて観た。難解と思いきや、今回字幕で観たらほとんど思ってたとおりのストーリーで、感情の揺れも間違っていなかった。もちろん、ミッキーの力では無くて、映像、俳優の表情などから読み取れたからだ。
映像の中でギョッとするところが二回あった。このシーンをみて「監督さんは意地悪な方」だとも思った。意地悪というのは言い過ぎだが、お茶目でいたずら好きな監督さんと言い直そう。ご覧になったかたは「あっ、ここだな」とおわかりになるはず。