イタリア、トスカーナ地方の小さな村。待望の男の子アモスの誕生を家族が大喜びしたが、眼球の異常で弱視とわかった。だが家族に愛され明るく過ごしていた。しかし12歳の時、授業中、サッカーボールが顔に当たって強い光だけどうにか感じることができるが全盲に近くなった。
そんなアモスは盲学校に入学する。だが高校は名門に入学。目の不自由な生活の中で叔父が歌が上手な彼をコンテストに連れて行き見事優勝を果たす。教会の集まりや結婚式で頼まれて歌っていたが、男声特有の変声期がきたのをきっかけに弁護士を目指す。
でもオペラ歌手を諦めきれないアモス(トビー・セバスチャン)は、幸運にも多くの有名オペラ歌手を育てたスペイン人の歌唱指導者マエストロ(アントニオ・バンデラス)と出会い彼の人生を一変させる。

世界的に有名なテノール歌手アンドレア・ボチェッリの半生をつづった自伝的小説を映画化。監督は『イル・ポスティーノ』のマイケル・ラドフォード監督のメガホンで映画化。歌唱シーンは少年期以外は全てボチェッリ本人が吹き替えしている。
彼の歌声もたっぷり聴けて大満足だった。特に大きく頷いて納得したのはマエストロの声楽レッスンの様子。その前に朝は7時、寝るのは10時、タバコもお酒もダメ。歌う1週間前からは「沈黙」とすべて声楽家の教訓。腹式呼吸の教え方も納得。
一つ気になったのは日常会話が英語だったことだ。一応?イタリア映画になっているので、そこのところが不満だ。
🎬『ベル・カント とらわれのアリア』ポール・ワイツ監督/アメリカ/101分/名古屋センチュリーシネマにて
実業家のホソカワ(渡辺謙)と通訳のゲン(加瀬亮)は南米のとある国の副大統領邸でのパーティーを心待ちにしていた。ホソカワの会社の工場誘致を望む主催者は、彼が大ファンであるソプラノ歌手のロクサーヌ・コス(ジュリアン・ムーア)のサロンコンサートを企画した。
オペラ好きの現地の名士や各国の大使も集まり、女神のようなロクサーヌの歌声が流れたその時、突然テロリストたちがなだれ込んであっという間に邸内を占拠した。
彼らの目的は、刑務所に収監されている同志の解放を求めるもので、赤十字から派遣されたメスネル(セバスチャン・コッホ)を仲介人にして、政府と交渉をする。だが交渉は遅々として進まず……。
史実か?と思ったが「1996年に起こったペルー日本大使公邸占拠事件をヒントに作家・アン・パチェットが執筆したもの」を映画化。
どおりで芝居がかっているところがあった。本当のところはもっと厳しいものに違いないと思いながらもロクサーヌの歌声に魅了された。渡辺謙より加瀬亮の押さえた演技が好ましかった。
★ 吹き替えはルネ・フレミングさんだが、ジュリアン・ムーアの口のあけかたや舌の位置がオペラ歌手のものになっていた。これこそベル•カント唱法といえる。