🎬『永遠の門 ゴッホの見た未来』ジュリアン・シュナーベル監督/イギリス、フランス、アメリカ/111分/11月8日より新宿ピカデリー他にて全国ロードショー公開
画家として全く評価されていないゴッホ(ウィレム・デフォー)は、パリで出会ったばかりの画家ゴーギャン(オオスカー・アイザックスカー・アイザック)の助言に従い、南仏のアルル地方にやってくるが、地元の人々とトラブルがたびたび起こり孤独な日々が続いていた。
弟テオ(ルパート・フレンド))の計らいで待ち望んでいたゴーギャンがアルルを訪れ、ゴッホはゴーギャンと共同生活をしながら創作活動に嬉々としてのめりこんでいく。しかし、その日々も長くは続かなかった。
映画の冒頭「仲間になって酒を酌み交わし、他愛ない話をしたい。時には誰かをスケッチして、それをプレゼントしたい…」そうつぶやくのは、生きている間は才能を認められず、貧しさと孤独の中で一生を送った画家フィンセント・ファン・ゴッホだ。
ゴッホが人生で何を見つめていたかという疑問と同時に、唯一信頼を寄せていた弟テオ、アルルの理想郷「黄色い家」でしばらく一緒に暮らしたゴーギャン、彼の才能を見抜けなかった精神病院の牧師(マッツ・ミケルセン)、酒場の女主人・ジヌー(エマニュエル・セニエ)、ゴッホの最期を看取り、彼のデスマスクを残したガシュ医師(マチュー・アマルリック)たちと交わす哲学的な会話に焦点をあてて描かれている。
ジュリアン・シュナーベルは画家から映画監督に転身して『バスキア』でデビュー。『夜になる前に』『潜水服は蝶の夢を見る』と次々に傑作を世に出した方。何より特筆したいのは監督自らデフォーに手ほどきして絵筆を持たせていることだ。紙切れやキャンバスに見事に描くシーンはゴッホの魂が乗り移ったかと錯覚するほどだ。
「ゴッホを演じることが出来るのは彼しかいない」と監督に言わしめたウィレム・デフォー。30代のゴッホを60代のデフォーが演じていることに違和感はない。光と風を全身に受け「この美しい風景は自分にしか見えてないのか」と自問するゴッホ。世間で言われているほど彼は不幸な人ではないように感じた。
★今も世界中から愛されている画家ゴッホと、彼に影響を与えたハーグ派、印象派の作品約60点を集めた「ゴッホ展」が2019年10月11日(金)〜2020年1月13日(月・祝)に上野の森美術館で、2020年1月25日(土)〜3月29日(日)に兵庫県立美術館で開催される。
2019年10月27日
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