2019年10月20日

山形ドキュメンタリー映画祭2019(9)『エクソダス』『死霊魂』

🎬『エクソダス』バフマン・キアロスタミ監督、脚本、編集、製作/イラン/80分/アジア千波万波

経済制裁のあおりで通貨の価値が下落したイラン。安い労働力として滞在を「黙認」されてきたアフガニスタンからの不法滞在者は、イランでの危険で不当な条件の元で働く意味がなくなった人々が、続々と「帰還センター」に押し寄せてくる。そこでは管理官と越境者の間で交わされる会話を捉えている。

2017年にトランプ大統領がイラン制裁を発動したあおりを受けて経済危機に陥った。自分の意志で、イランを出るアフガニスタンの人々と管理者との会話が面白い。

イランで何をして働いたか、どれだけ収入があったか等々を聞く管理官。不法移民で入って来た人々が本音と嘘を交えての話や、管理官がユーモアを持って応酬する全容は見ものだ。


🎬『死霊魂』ワン・ビン監督、撮影/中国/495分/インターナショナル・コンペティション/ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)受賞作品

1950年代後半に起きた中国共産党の反右派闘争で静粛されて、ゴビ砂漠にある再教育収容所に送られた中で生き残った人々の壮絶な体験談の証言を集めたドキュメンタリー。

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8時間以上かかるドキュメンタリー。これを観ると他の作品が観られなくなるが、ワン・ビン・ドキュメンタリーを観ずして山形に行ったとは言えまいと一日がかりで臨んだ。

ワン・ビン作品は545分の超長編の『鉄西区』(2003年の山形ドキュメンタリーで大賞受賞)も、同じゴビ砂漠の収容所を題材にしたドキュメンタリー『鳳鳴ー中国の記憶(これも2007年に山形ドキュメンタリーで大賞受賞)』『無言歌』を観ている。

長さとしては『鉄西区』が多いが、新作『死霊魂』の方が一人ひとりの証言の語りかけが真に迫っていて、観ているこちらが話相手の状態になって知らぬ間に休憩が入る3時間が経っていた。

この映画祭で3回目の大賞受賞のワン・ビン・ドキュメンタリーだから必ず公開されるはず。もう一度観る覚悟は(体力的に)していないが「これこそ、ドキュメンタリー映画の本髄」と感じた作品だった。
posted by ミッキー at 19:45| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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