監督さんは海外に行っておられて帰国が今回の台風で帰国できなくなり、メッセージを送ってくださった。しかし作品は、昔テレビ映像が終わってザァーザァーと砂あらしのような画面があるが、それよりは多少変化があって、それに金属的な電子音が加わる。

それが60分続くのだからたまらない。宇宙に舞う「光と音のダンス」を既成の概念を取っ払って……と書いてあったが、椅子に縛られて身動きできないようになってしまった。
でも、終わったとたん、大きな拍手が沸き起こったのにはびっくり。すごいもの観たとは思うがこんな拍手がわき起こりとは……。
🎬『水、風、砂』アミール・ナデリ監督/イラン/70分/1989年 /イラン60sー80s作品
故郷が干ばつに見舞われたので、出稼ぎ先から帰って来た少年(マジッド・ニルマンド『駆ける少年』の方で今は大学教授をされている)は故郷に着いてみれば一面砂漠化していて家族たちは去ったあとだった。
ひたすら砂漠の中をさまようシーンが続く。置き去りにされた赤ん坊、水を求めるための穴堀、時おり出会う移動中の人々、だけど誰も自分たちのことで必死だ。だが少年は病で水を求めている人のために砂漠の土を掘り出し始める。「そんなところ掘っても出てこない」と思っていたが……。
前に観た『Memento Stella』の反動かとても深く感動した。ナデリ監督トークは15分ほどで物足りなかったがお忙しい方なので仕方あるまい。