
昨日から山形ドキュメンタリー映画祭に来ている。台風接近の影響で気持ちは落ち着かないが山形で映画三昧している。
🎬『インディアナ州モンロヴィア』フレデリック・ワイズマン監督/アメリカ/143分/インターナショナル・コンペティション作品
フレデリック・ワイズマン監督は昔ながらの価値観や生活を守り続ける人々が暮らすインディアナ州の農業の町モンロヴィアを「善きアメリカ人」の住む町としてあらゆる町の様子をスケッチするように映し撮っている。
ありとあらゆるところでカメラを回している。きっとワイズマン監督に選ばれたこの町の絶大な協力があったと思う。
初めのシーンは広大な牧場や農業の風景で、収穫もほとんど機械化されていた。その農機具の中古競り市も独特の節回しで行われていた。
教会の説教、町村の議会、学校(全米屈指の実力を持つバスケットボールの自慢話)、床屋、喫茶店(老人たちが健康について話していた)、スーパーマーケット、美味しそうなpizzaのお店、下手くそだけど味のある吹奏楽部、ライオンズクラブ……、穏やかな映像の中で、町議会での決然とした意見、それに反対する意見を冷静に話し合っていたことが印象に残った。
監督さんは『エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館』の方で、2017年の山形で初上映された。
🎬『気高く、我が道を』アラシュ・エスハギ監督、編集、録音、音響/イラン/64分/アジア千波万波作品
イランの田舎で牛を飼い、農業を営む80歳の男は農作業のあと女装してダンスを踊る。革命前は巡業したりミュージシャンの仲間たちとライブをしていたが、革命後は踊ることを禁止されている。今でもたまに結婚式や病院の慰問で踊ることもあるが、彼は一人でも裏庭や部屋の中で踊り続けている。
興味深い作品だった。念入りに化粧すると老人が踊り子に見事に変身する。
家族は愚痴をいいながらも協力しているようだ。その愚痴部分が面白く、愚痴でありながら愛情を感じだ。周りから咎められたり、あざけ笑われたりと相当辛い経験をしたはずなのに、彼の踊りに対しての「打ち込み」ように観念したのだろうか。
彼は踊りの衣装も手作りしていて、スパンコールを一つひとつ縫い付けていた。