南インドのタミル・ナードゥ州を舞台に1980、1995、2007年の時代を生きた3人の女性の結婚生活が描かれている。
1980年
サワラティ(カーリースワリ・シュリーニヴァーサン)は短気で口うるさい夫に付き従っていたが、赤ん坊のミルク代も底をついて、思い余って生活費をお願いしたことで絶縁されてしまう。
1995年
自力心が強く教師をしているデーヴァキ(パールヴァティ・ティルヴォートゥ)は次男である夫の大家族と暮らしていたが、日記をつけていることが見つかりr兄嫁が家の恥を書かれているのではないかと年寄りに告げ口。想像以上のもめ事に発展。
2007年
学生時代に有望な陸上選手だったシヴァランジャニ(ラクシュミ・プリヤー・チャンドラマウリ)は親の決めた結婚で陸上選手をあきらめ、娘もできて裕福に暮らしているが、姑、夫、娘の世話で追いまくられるように生活している。
観客賞受賞作品。

これ、インド独特の話でもなさそうだ。日本だっていまから40年前なら口答えするだけで離縁までいかないが殴られたり生意気だと言われたりした人もいただろう。サワラティは娘も成長して母娘、貧しくとも明るく暮らしている。そこにたどり着くまで大変な苦労があったろうに、よく頑張ったとほめてあげたかった。
次の、日記をとがめられるのはインドならではかなと思った。「家の恥なことなど書いていません」というデーヴァキに「それなら皆の前で読めるはず」と兄嫁も自分の夫にまで言われてしまう。彼女は自分で食べていけるので、とっとと荷物を運び出していた。偉い!胸がすく思いだ。
最後の現代に近い、といっても13年前のシヴァランジャニが微妙だ。
彼女は陸上選手さながら家の中で小走りに動き回っていて「水をくれ」「白いワイシャツの新しいのを出せ」「今日は遅くなるが食事はする」と矢のような命令が飛んでくる。でも威張りくさっている夫じゃない、それが当然と身に付いているようだった。
座っているテーブルの上にあるものぐらいは自分でやるくらいだ。
娘の登校前の準備、姑の食事の世話がそれにのし掛かるので、タコさんだってあたふたするだろう。
それを手際よくやれているが彼女には夫に嘘をついてまで「探したい物」があったのだ。
賞をとったし公開もあり得るので、ここまでにしよう。
3人とも今は幸せと思えるのが救いだ。