ニューヨーク・マンハッタンに住む若き画家の主人公は、2人の女性と同居していた。絵が売れず借金で苦労していた彼はある日、溜まりに溜まったストレスを解消するためホームレスを電動ドリルで殺害する。
チェンソーでビョーンビョーンと殺ってしまう映画はたくさんあるが、壁などに穴をあけるドリルで気晴らしに浮浪者どもを殺っていく男。
男(アベル・フェラーラ監督)は画家、売れない画家でもない。描けばお金が入ってくるからそこそこうれている画家だろう。
男は伊藤雄之助に似ていて、一度みたら絶対忘れない男。特別いい男ではないし、お金もないのに、なぜか熟女と少女の二人と微妙に暮らしている。セックスシーンがないのであっちのほうはわからないけど、こんな男がと思いながらと観続けた。
気になったのは音楽が良くない……でも男の生活の中で聴こえてくる音楽が下手くそでもそれは仕方ないことだ。我慢するしかない。
熟女は「お金がない、絵を描いてお金をもらってきて」ということはお金のことばかり。でも男はのらりくらり。
少女のほうは「これを飾るから壁に穴をあけて」としなだれかかるように男に頼み、あけかけると「あ、もっと上」「あ、違う、違う、そこじゃない、もっと右」とか(なにやってんだか)アホな少女。その時のドリルの振動が忘れられなくなったのか男はドリルに魅入られたのだ。
まあしょうもない男が殺るんだからと思って観ているうちに「血の出方」とドリルの振動音が堪らなくなる。ドリルの音は普通「ドッ、ドッ、ドォゥ〜」かどうかわからないが、快音になっていって……。
是非とものオススメではないが、前のロメロ監督作品より身体に残る作品だった。