
ソウル市警危機交渉班の警部補ハ・チェユン(ソン・イェジン)は犯人と交渉中に人質と犯人の両方を死なせてしまった。責任を感じて考えた末に辞表を提出しようとしていたが、彼女を名指しした交渉事件が勃発した。
それはミン・テグ(ヒョンビン)と名乗る男が、タイのバンコクで危機交渉班のチーム長と韓国人記者を拉致し、ハ・チェユンを交渉相手に指名してきたのだ。ミン・テグは以前から追っていた国際犯罪組織の武器売買業者のリーダーだった。
だが拉致の動機も要求も不明。交渉の糸口を掴めないハ・チェユンは次第に焦り始めたが……。
『交渉人』といえばもう20年前になるがケヴィン・スペイシー主演が思い浮かぶ。この手の映画で女性が主役になるのは珍しいがソン・イェジンは知性ある美しさ、パチッとした目力と鮮明なお声で颯爽としていた。
「被害者が自分の腕の中で死んでいく経験は二度としたくない」考え込んだり、落ち込んだりしている姿は仕事とはいえ、かわいそうだった。
どうしてミン・テグが彼女に交渉してほしいと言ってきたか書けないが、今の韓国状況を考えると、さもありなんと思う部分もあって、観る価値はあると思う。
🎬『ブラインドスポッティング』カルロス・ロペス・エストラーダ監督/アメリカ/95分/新宿武蔵野館にて
アメリカ・カリフォルニア州オークランドで暮らす黒人のコリン(ダヴィード・ディグス)は1年間の保護観察期間完了まであと3日間。それまでは個人部屋のある施設に入っていて午後11時の門限や定職に就くことなど規制が厳しく、この3日を無事に乗り切らなければならないと内心ビクビクしていた。
というのは、コリンの幼馴染で問題児の白人マイルズ(ラファエル・カザル)の行動だった。彼は自分が働いている引っ越し屋を紹介してくれたり、いろいろ世話になっていて大親友だが向こう見ずで友人との喧嘩が絶えないからだ。
そんな時、11時の門限が少し過ぎていたので急いで車で帰宅途中、突然コリンの車の前に現れた黒人男性が、白人警官に背後から撃たれるのを目撃して……。
保護観察中の黒人青年とキレやすい白人の青年の親友同士でコミカルな作品と思ったが、殺人現場を目撃してからコリンの気持ちが保身いっぱいになり、一方、マイルズはそれを脅かす存在になってしまう。警察に届けたいが門限で追及されたら、黒人で保護観察中の俺のいうことなんか信じてもらえないとか、そんなことばかり考えて落ち着かない日々だった。
その気持ちを逆撫でるように、拳銃買ったり、危ないメンバーのパーティに誘ったりするマイルズとの仲が今までとは違うのだ。観ているこっちは「3日ぐらい仮病でも使って仕事休んで施設で寝てろ」と言いたくなった。
この日観た2作品は、深く心に突き刺さるものがあった。