訪問看護師の市子(筒井真理子)は、献身的な看護で周囲から信頼されていた。特に訪問先の大石家では、お世話をする祖母の孫にあたる基子(市川実日子)に介護福祉士になるための勉強を見てやっていた。基子は市子に対していつしか憧れ以上の感情を抱き始めていたが、市子は気付きもしなかった。
そんなある日、基子の妹・サキ(小川未祐)が行方不明になる。1週間後に無事保護されるが、犯人は意外な人物だった。その事件のきっかけを作ってしまった市子は関与を疑われ、ねじ曲げられた報道や裏切りによって生活の全てを失ってしまう。
自分が何もしなくても市子のような立場になる可能性は確かにある。事件が起これば加害者の両親、兄弟はもとより事件の元を作った市子の立場も無関係とは言えない微妙さがある。
だが現実的に考えるとこの映画の所々に「あそこの時点で判断ミスしている」とか「そこまでするまでのことか」と思わずにいられない箇所がある。そこを説明するとストーリーがわかってしまうから、書けないことがもどかしい。
筒井真理子さんの実力は『ニート・オブ・ザ・デッド』で承知している。地味だし、そう美人ではないが、なりふり構わずの場面で、その「実力」が遺憾なく発揮される。
『よこがお』でも、働く介護師時代はノーメイクに近い、だが事態が変わってくると狂気じみた行動と共に化粧も変わってくる。
⭐️観た後、胸のざわつきが長時間続いた。しかし、後味が悪いのとは全く違う。