毎日、ギャンブルをしたり、酒を飲んだりして過ごしていた木野本郁男(香取慎吾)は恋人の亜弓(西田尚美)の故郷・石巻で、亜弓の娘・美波(恒松祐里)共々3人で人生をやり直すことにした。
だがまだ結婚する気持ちに迷いがあった。ギャンブルはやめたが仕事もない状態で結婚を言い出すことのできない郁男だった。
真弓の実家の石巻には末期がんに侵されながらも漁師として働く亜弓の父・勝美(吉澤健)が待っていた。郁男には無愛想ではあるが、娘や孫と一緒の生活を喜んでいるようだった。
近所に住む小野寺(リリー・フランキー)が郁男にいろいろ気を使ってくれたり、印刷会社の仕事も見つかりと、順調な滑り出しをしたが……。
観応えのある作品だった。
ミッキーの周りに賭け事で身を持ち崩した知人がいて、周りがどんなに苦労していても止めなかった(止められなかった?)。だから観ていてハラハラしたり、その時の知人の苦労がよみがえって、郁夫に対して「怒り」さえ感じた。
「元SMAP」という枕詞が付く香取慎吾、稲垣吾郎(『半世界』東京国際映画祭・観客賞)の持つ魅力と演技力をすれば、これから10年後が楽しみな「俳優」さんだ。
『凪待ち』にはリリー・フランキー、黒田大輔 (印刷会社の同僚役。橋口亮輔監督『恋人たち』の黒田もすごい)、『半世界』では池脇千鶴という「今の映画界を静かに牽引していく」俳優さんからいろんなことを吸収してほしい。