1933年に戦艦大和を建造をめぐる軍内部のドラマ。主役は今若手ナンバーワンの菅田将暉。彼の役どころは東京帝国大学数学科中退で百年に一人の天才といわれる数学者。
日本からアメリカに渡ろうと思って乗船したが、彼の能力を欲した山本五十六(舘ひろし)に懇願されて巨大戦艦建造計画を阻止するために、間際で下船した。
そしてにわかに海軍主計少佐に任命され、彼の能力を発揮する……というストーリー。巨大戦艦建造を推し進める造船中将に田中泯さん。この作品の中では悪役といえるが落ち着いた口調と目の光に打たれた。監督さんは『永遠の0』の山崎貴。公開したらもう一度じっくり観てみたい。
🎬『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』アク・ロウヒミエス監督/フィンランド/132分/6月22日より新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショー公開
1941年、前年にソ連との「冬戦争」に破れカレリア地方の領土の一部を失ったフィンランドは、ソ連から領土を取り戻すためにソ連に進攻した「継続戦争」が始まる。この戦争では人口が400万人のフィンランドは50万人の軍隊を組織。強大なソ連軍に戦いを挑んだ。そんな中、それぞれ違う背景を持つ4人の兵士たちは最前線において戦闘に身を投じた。
『アンノウン・ソルジャー』で描かれる4人の兵士たちは、家族持ちの百姓で熟練兵ロッカ(エーロ・アホ)、婚約者をヘルシンキに残してきたカリルオト(ヨハンネス・ホロパイネン)、戦場でも純粋な心を持つ続けるヒエタネン(アク・ヒルヴィニエミ)、中隊を最後まで指揮するコスケラ(ジュシ・ヴァタネン)ら、彼らは補充兵で正規の兵士から下に見られていたが壮絶な戦いに身を投じていく様子は観ている者をも「戦争の悲劇」に引きずり込まれるようで身震いがした。
⭐️6年前「トーキョー ノーザンライツ フェスティバル2013」で上映されたサカリ・キルヤヴァイネン監督『サイレンス』を思い出した。これは「継続戦争」のさなかのフィンランドの作品で、ソ連と国境が接している最前線で戦死したフィンランド兵士の遺体を安置する施設が舞台になっている。作業は、牧師が中心となって指揮していて、使命感を持って志願した女性たちの手できれいに清められて棺に納め帰郷させている。同じ戦地で戦うもの、死んだ兵士を弔うものなどの作品を通して、フィンランドが背負った歴史を知ることができた。