教員試験に落ちて傷心のヘウォン(キム・テリ)は、故郷にふらっと戻ってきた。つき合っていた彼は試験に受かっていたのもショックだった。
故郷の家は母親が出奔したので空き家になっていて、近くに住む伯母さんが時々見回ってくれている。その伯母さんにもすぐソウルに帰るからと思って黙っていた。だが家の煙突から煙が上がっているのを見られて心配して駆け込んで来た。
幼なじみのジェハ(リュ・ジュンヨル)やウンスク(チン・ギジュ)にもすぐ見つけられた。
会社員だったジェハ青年は「自分が選ぶことの出来る」人生を生きたいと故郷に戻って果樹園を自営していて、ウンスクは気心が知れた姉妹のような関係だが、ヘヴォンと反対で都会に出たいと思っていた。
ヘヴォンは母親が作ってくれた料理を思い出しながら作り、時々立ち寄ってくれる二人に振る舞うという日々が続いて……。
あいち国際女性映画祭常連のイム・スルレ監督の新作。橋本愛主演の2作品も素敵だったが、春夏秋冬を103分でまとめあげたイム・スルレ監督の作品の方に軍配をあげたい。
キム・テリさんもリュ・ジュンヨル(『タクシー運転手 約束は海を越えて』に出ていた学生さん)も美男美女ではないが好感が持てた。
話は四季折々の素朴な料理以外に、特に事件らしい事など起こらず、恋愛模様もない。でも 観終わった時には幸せな気分にひたれた。
⭐️出番は少ないが、へウォンの母親にムン・ソリさん❗️ 存在感のある女優さんだ。
🎬『ガルヴェストン』メラニー・ロラン監督/アメリカ/98分
若い時からヒットマンとして裏社会で生きてきたロイ(ベン・フォスター)は、咳がよく出るのでボスの勧めで病院へ行くが自分の肺のレントゲン写真を見せられて、もう余命のないことを感じ取った彼は診察中に医師の制止を振り切って帰ってきた。
ある日、ボスの命令でいつもの「仕事」に向かったが何者かに襲われる。先のない自分を組織が始末したがっていると直感した彼は、相手を撃ち殺し、偶然、その場に囚われていた若い女(エル・ファニング)を連れて逃げた。逃げる時にひと束になっていた秘密書類を持って……。
『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロランさんが監督だ。数年前にドキュメンタリーで『Tomorrow - パーマネントライフを探して』という世界の経済や政治が行き詰まっている中で若者たちの取り組みを多方面で見せてくれた。
そして、この『ガルヴェストン』。少女の生い立ち、ロイの男気、立ち寄ったガルヴェストンの安モーテルで出会った人々、それらが自然な形で物語を紡いでいる。
前作のパーマネントライフを見たときは、メラニー・ロランさんってお利口さんだなぁと思ったが、この新作を観て絶句した。ただ者ではない、ただ者でないのは有名女優さんだからわかっているが、それ以上の「映画の神様を味方につけた」ほどの力量を見た❗️
⭐️ガルヴェストンを調べてみたらハリケーンがよく起こる地域だった。この映画の最初と最後はハリケーンシーンだった。