2019年04月18日

現実と寓話のはざまで 4月19日公開『幸福なラザロ』

今池シネマテークでジャン・ヴィゴ監督『アタラント号』を観た。ジャン・ヴィゴ監督は29歳の若さで亡くなった方で長編作品はこれ一つだ。
ストーリーは

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ル・アーヴルと田舎町を結ぶ船・アタラント号。若い船長のジャン(ジャン・ダステ)は結婚式を挙げたばかりのジュリエット(ディタ・パウロ)と一緒に乗り込んで、新婚旅行でパリに行こうとしている。この船には変わり者のジュール爺さん(ミシェル・シモン)と少年水夫(ルイ・ルフェーヴル)がいて、新婚気分は半減するも、それでもいちゃついている2人。無線から流れるパリのおしゃれなニュースに浮かれるジュリエット、美人若妻がパリの男の目に触れさせたくないので早めに船を出そうとするが……。

若いお二人さんもいいが年老いた船員のミシェル・シモンさんの特異な風貌や情のある眼差しに痺れた。裸になって船長のお嫁さんに刺青を見せるなどお茶目なところもあった。カメラのアングルも狭い船内から大海原までとても素敵なモノクロ作品だった。


🎬『幸福なラザロ』アリーチェ・ロルヴァケル監督/イタリア/127分/4月19日よりBunkamuraル・シネマ他にて全国順次ロードショー公開(名古屋:4月27日よりセンチュリーシネマにて公開)


20世紀後半のイタリア。大洪水の影響で深い渓谷になり周辺から隔絶されたインヴィオラータ村の人たちは、領主であるデ・ルーナ侯爵夫人(ニコレッタ・ブラスキ)の小作人としてタバコ農園で働き搾取されていた。わずかな利益も公爵夫人の手下で村人を監督するニコラ(ナタリーノ・バラッソ)が持ってくる生活必需品と交換すると手元には残らず、借金になる貧しい生活だった。

村一番の働き者で素直な若者・ラザロ(アドリアーノ・タルディオーロ)は、大人しい性質のために周囲から仕事を押し付けられていたが嫌な顔一つしないで黙々と働いていた。

そんなある日、侯爵夫人の息子タンクレディ(ルカ・チコヴァーニ)が村にやってくる。タンクレディはラザロの純真さをいいことに自分の誘拐を企て、彼に協力させるが……。


監督さんの前作は『夏をゆく人々』で、人里離れた広々とした農園で古来の養蜂をしている一家の話。これも外界から遮断されているという点では似ている設定だった。

新作は現実に起きた事件に神的寓話を入れ「人間本来の幸せな生活」をラザロを通して描いている。ラザロ自身は神的体験をするがそのことに気付きもせず、最初から最後まで「変わらない」まま存在する。その圧倒的な存在に人間の汚れた部分が洗われていくような清々しさを感じた。

⭐️眼差しと自然な立ち姿が美しいラザロ役を演じたアドリアーナ・タルディオーロさんは21歳。高校時代にスカウトされた。もちろん演技経験はなく、現在は大学生で俳優の道は学業を終えてから考えると語っている。

⭐️アリーチェ・ロルヴァケル監督の実姉はイタリアの有名女優のアルバ・ロルヴァケルさんで旦那さまがこの映画の後半に出てくるセルジ・ロペスさん。GWに有楽町で開催されるイタリア映画祭2019には『私の娘よ』と『ルチアの恩寵』の2作品にアルバ・ロルヴァケルさんが出演する。チケットは購入済みだ❗️




posted by ミッキー at 22:46| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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