旧東ドイツ、ライプツィヒの近郊。無口な27歳のクリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は、建設現場の仕事をクビになって、大型スーパーマーケットの在庫管理担当の試験採用として夜間を中心に働き始める。
いままでの仕事とは180度違う職場で戸惑うことがたくさんあったが、そこで働く人、ルディ(アンドレアス・レオポルト)、クラウス(ミヒャエル・シュペヒト)、そしてクリスティアンに仕事を教えてくれるブルーノ(ペーター・クルト)と出会う。
彼らは口数の少ない彼を適度な距離を保ちながら仲間に入れてくれた。
そんなクリスティアンはケーキ売り場のマリオン(ザンドラ・ヒュラー)に一目惚れするが……。
よく映画の感想で「景色が良かった」と言われるが、この作品はほとんどが大型スーパーの内部で撮られている。なのに「景色」がいいのだ。売り場はもとより、倉庫、冷凍倉庫、休憩所、裏手のゴミ収集場など無機質な室内も見る角度によってそれ自体に温もりを感じた。
一方、時間的には少ない場面だが、自宅は意外と寒々としていた。そこに人の「生活のぬくもり」はなくて、朝から晩までいる職場が自分の居場所になっているように感じた。
⭐️フランツ・ロゴフスキさんはこの映画でドイツアカデミー賞・主演男優賞を受賞している。
⭐️魅力的な年上の女マリオンを演じたザンドラさんは『ありがとう、トニ・エルドマン』の方。