1960年代終わりのアメリカ・メイン州。人里離れた村にある古めかしい屋敷にマローボーン家の優しい母ローズ(ニコラ・ハリソン)と子どもら4人、長男ジャック(ジョージ・マッケイ)、長女ジェーン(ミア・ゴス)、次男ビリー(チャーリー・ヒートン)、末っ子サム(マシュー・スタッグ)が越してきた。
一家は祖国イギリスでの悲惨な過去を捨てて、新しく人生を踏み出そうと母ローズの昔住んでいた家に帰って来たのだ。しかし彼女は間もなく病でこの世を去ってしまった。
息をひきとる前に長男のジャックに「あなたが21歳になるまでは私の死は伏せておくように、私は庭の木の根元に埋めてくれ」と言い残した。
だが、途方にくれる4人の前に突然、父(トム・フィッシャー)がイギリスからやって来て……。
どこまでストーリーを書いていいのか迷っている。チラシに書いてあることはネタバレではないにしても、マローボーン家の父のことは秘密にしたいと思う。
長男ジャックは18か19歳で、21歳まで母の死を隠す(それまでに母親死亡とわかると、子らは孤児院や里子に出されてバラバラになってしまうからだろう)だけでも相当大変なことだ。
この責任感の強いジャックはの弟妹たちに5つの掟を守らせる。
「成人になるまでは屋敷を離れてはいけない」「鏡を見てはならない」「屋根裏部屋に近づいてはならない」「血で汚された箱に触れてはならない」「「何か」に見つかったら砦に避難しなくてはならない」という掟だ。
そんなジャックの楽しみは図書館に勤める少女アリー(アニャ・テイラー=ジョイ)とたまに村に下りた時に会うことだけ。夜になるとお互いの存在を光で合図しあっている。
全般的にいえばホラー映画だが、村の商店、図書館、弁護士の出方などが現実的に描かれているので、それが恐怖で固まった身を和らげてくれる。
🌟4人のマローボーン家の子どもたち、そしてアリーの瑞々しい演技が印象的だった。