広告業界人のテオ(アドリアーナ・ジャンニーニ)は恋人グレダ(アンナ・フエルツェッティ)や家族とも適度な距離をおいて仕事に没頭していた。
そんなある日、暗闇の中を白杖で進む「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」のワークショップに参加した彼は、そこで働いていた盲目の女性エマ(ヴァレリア・ゴリノ)の声に魅せられる。彼は彼女が営む整体マッサージを受けに行く。白い杖をつきながらも活動的な彼女に、テオは離れがたい気持ちになっていくが……。
盲目の整体師を演じるヴァレリア・ゴリーノの熱演によるところが大きい作品。エンマと親友の弱視の人も良かった。盲目と弱視の違いも丁寧に演出されていた。
演出力、カメラはとても良かったが、テオの心変わりする速度についていけなかった。これがイタリア男の本質とは思いたくないが、ミッキーには理解できない冷たい行動をする。
⭐️この監督さんの前作『多様な目』(未公開)は目の見えない方々の生活ぶりを追ったドキュメンタリーが、この『エマの瞳』の製作へつながった作品。
『多様な目』シルヴィオ・ソルディーニ監督
視覚障害を持つ10人の方の生活を追ったドキュメンタリー。出て来る人は、理学療法士、企業家、彫刻家、ミュージシャン、テレフォン・オペレーター、退職者、チェロ弾きの女子学生、作曲家…。
目が見えないことを克服した人、目が見えないことをあまり不自由に思ってない人がいて、皆、共通することは、お金に余裕があること、性格が前向きで明るいことだ。ヨットやアーチェリーなどのスポーツを音声認識しながら実行する。写真を趣味とする人は空気の流れや微かな光の変化でシャッターチャンスをものにしていた。経済的な裏打ちがあるとしても前向きな人生を歩んでいる姿に見とれてしまった。
今はどんどん新しい手助けする機械や介助用品が開発されているのに驚いた。
⭐️日本では公開されていないが『司令官とコウノトリ』も佳品だった。