石川県加賀市にある「片野鴨池」で伝承されている坂網猟は、300年前からの伝統ある猟法。
池は越冬のために集まった鴨が低空で飛ぶ、その一瞬に網でできたタモのようなもので天高く投げて捕獲する。その伝統ある猟を坂網猟師たちを追ったドキュメンタリー。
『鳥の道を超えて』や、3回も満員で観られなかった(今だに観ていない)『 夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年』の監督さん。
『鳥の道を超えて』の中にも、この鴨猟は出てくる。いっぺんに大量に捕る霞網は戦後すぐにGHQにより禁止になったが、この鴨猟は一回で一羽ということでずっと続いている。
鴨が飛び立つのを指定の位置でじっと待ち、鴨の群れが来た瞬間の何秒間に飛び上がって網を投げる姿がとても男性的だった。
この作品は鴨猟の由来、池の整備、周りの山の木々一本にも目配りがあってこその300年続いた猟で、猟場、人の組む合わせ、も昔ながらの決まり通りに不公平がないようにつくられていた。
⭐️監督さんは捕えられた鴨はすぐにしめてしまうがその場面はあえて入れなかったと語ってくれたが、ミッキーはそこを是非入れてほしかった。
🎬『けもの道 京都いのちの森』川原愛子監督/45分/2018年
京都の市街地と山の境界で暮らす猟師・千松信也さんは、近隣の3つの山に入り、手製のワナをかけてシカやイノシシを捕獲。その一部始終、千松さんの生き方、考え方を知るために、ひと冬の猟に密着したドキュメンタリー。
これには感動した。特異な方だ。2018年のNHKの番組で放映されたから、ご覧になっている方も多いと思う。
監督さんと千松信也さんがトークに登場。この細いお身体の中に、あのパワーや強い意思が秘められているのかと凝視した。
けもの道にはほとんど毎日のように見て歩き、糞、足跡、一枚の葉っぱも見落とさず「これは昨日の糞で、子連れで歩いた跡だ」と話しながら歩き回っていた。
自分の仕掛けたワナで捕えたイノシシを解体して家族や友人と食するだけで、それ以上に獲ったりはしない。
そんな中で、イノシシを獲った拍子に、ご自身が足を骨折して病院に担ぎ込まれた。医師から手術をとすすめられたが、彼は「イノシシも3本足のがいる。自分だってギブスだけの治療で不具合とともに生きて行きたい」と頑として手術を受けなかった。
イノシシのトドメを刺すシーンも解体シーンも見事に映し出していた。