香港の小さな漁村・珠明村。幼い時から日光にあたるとやせ細って死んでしまう病気と父親から言われていた16歳の少女(アンジェラ・ユン)は、白い肌を太陽から隠して生活していた。
村人たちからは「幽霊」と呼ばれ、船に乗せるな縁起が悪いと言われたり、学校では自分の触ったものは捨てられたりして気味悪がられていた。
彼女はいつの日かこの村を出たいと考えていて、日が沈んでから浜辺で好きな音楽を聴いていた。
そんなある日、どこからともなくやってきた日本人の男(オダギリジョー)と出会った少女は次第に外の世界に行くきっかけをこの男に拓せるかもしれないと思うようになったが……。
今時、香港にこんな打ち捨てられている場所があったとは思いもよらなかった。この土地にも開発の手がのびていて地元政治家やその取り巻きがコソコソ動いている。その土地の中でも特に見晴らしのいい山の頂上に「廃墟」があり、開発の目玉になる運命だろう。その廃墟は打ち捨てられた風情だが冒険心を掻き立てられた。日本人の男はここにふらりと来て数日住み着くのだ。
土地の蚊取り線香売りの少年が彼を見つけ村中から必要なものを調達、あれこれと世話を焼いてくれる。
少女の生い立ち、亡き母に隠された秘密と露わになるが、男のことは観ている者に委ねられる。さすが描写はピカイチで雰囲気的には盛り上がるが、白黒はっきりしたい方にはオススメできない。