🎬『アウト&アウト』きうちかずひろ監督/106分/11月16日よりTOHOシネマズ 新宿他にて全国ロードショー 公開
日本最大の暴力団最高幹部の側近だった矢能(遠藤憲一)はヤクザから足を洗い探偵事務所を開いていた。わけあって預かる小学生の女の子・栞(白鳥玉季)を、お茶出し、電話取り次ぎなど、学校が終わってから、秘書のようにお手伝いをさせて営んでいた。
ある日、矢能のもとに取引の現場に立ち会って欲しいという依頼がきて、指定された場所に行ってみると依頼人と思われる男は拳銃で撃たれて死んでいた。驚いている矢能に、マスクをした見知らぬ男から銃口を突きつけられて……。
遠藤憲一さんのヤクザ者で忘れられないのが、4年ほど前に観た榊英雄監督の『木屋町DARUMA』。かつては京都木屋町の裏社会の組織を束ねていた勝浦(遠藤憲一)は、5年前の出入りで四肢を失ってしまった。今では、その身体で嫌がらせをして取り立て屋稼業をしている。というお話。
その時は日常生活ではトイレで自分の尻もふけないざまで、金を返さない家にこの世話がやける男を金を払うまで置いておくという道具にされているのだ。そこの若い娘に下の世話を条件に、うな丼上、お寿司の上、と美味いものも条件で……。今思い返していてもう一度観たくなるほどの「開き直り」演技で面白かった。
今回ははめられてしまって、あちこちと協力してくれる仲間で助けてもらうが、可愛がっている栞ちゃんにも火の粉がふってきて大慌て。
また栞ちゃんというのが頭がよくて、事務所にはお茶出しだけで、口は出さないが、電話の様子、相談している話、などお耳ダンボで隅っこで聞いていて、矢能と2人の時に助言めいたことを言って、まるで秘書以上の切れ者。
たまに、事務所にいると危ない時や、地方に出かける仕事の時に栞ちゃんを預かってくれる婆さんに、高畑淳子さんが演じている。見事な佇まいと存在感で、この作品に深みを与えていた。