ピアノバーを営むシングルマザー・サチ(吉田羊)に、突然、ハワイのカウアイ島にあるハナレイ・ベイで息子・タカシ(佐野玲於)が、サーフィンをしていて、鮫に襲われ死んだという知らせが届く。
急いでハワイに向かったサチは無言の息子と対面。遺灰と共に日本に帰ろうと飛行場まで行くが、息子が命を落としたハナレイ・ベイを見たいと思い一週間車と宿を借りて、チェアと本を持って、じっと海を見つめていた。
それからのサチは毎年タカシの命日の時期にハナレイ・ベイを訪れ、同じ場所にチェアを置き本を読むが、決して海には近づかないまま、いつも見つめて過ごしていた。
そんなことを10年間繰り返したある日、2人の若い日本人サーファー高橋(村上虹郎)と三宅(佐藤魁)と出会い、彼らから「右脚のない日本人サーファーがいる」という噂を聞く。
松永監督の『トイレのピエタ』は深く印象に残った作品だった。この新作も決め細やかな演出力、脚本が見事で、カメラが秀逸だった。音楽もマルティーニ「Piacer d'amor /ピアチェール・ダモール/愛の喜び」で大好きな曲だった。
これを観ている最中、最後、息子の手形に涙するシーンは会場全員が「一つ」になった感覚を覚えた。年に三回くらいだが感じる時がある。
試写で観られなかったり初日に観られなかったりしたが、この70名ほどの入りで観られたのがよかった……と、思った。
⭐️東京国際映画祭の 「アジア三面鏡2018」のオムニバス形式映画の中での松永監督作品も好評。これからも目が離せない監督さんだ。
⭐️劇場上映が始まっているのになかなかいけなかった『ハナレイ・ベイ』、やっと観ることができた。観たのは新宿ピカデリーで、名古屋でいうとミッドランドスクエアシネマ2 のような縦に長いシネコンだ。新宿駅から5分くらいのところ。