ウサギの耳のカチューシャを付けた風変わりな少女・バーバラ(マディソン・ウルフ)は、ひとりで森にきて木の根元や切り株に自分で作った「血」ようなものを振りかけて、巨人が現れるのを待っている。
バーバラはこの町に「巨人」が襲ってくる日が近いと直感していた。巨人を倒す呪文は、100年ほど前に奇跡の大逆転をした野球選手の名前「コヴレスキー」
巨人が襲って来るなど誰も信じないことは重々分かっていた彼女は、自分の殻に閉じこもっていた。学校ではもちろんいじめられていたが、家でも兄デイヴからはバカにされ、姉カレン(イモージェン・プーツ)は、家事と仕事でバーバラの話を聞いてもらえなかった。
そんなある日、バーバラが海岸で罠を仕掛けていたら、イギリスから引っ越して来た少女ソフィア(シドニー・ウェイド)が声をかけてくれた。学校の子とは違って礼儀正しく言葉も丁寧だった。「巨人」の話も半信半疑なりに真剣に聞いてくれるソフィアと少しずつ心を開いていった。
新しく学校にきたカウンセラーのモル先生(ゾーイ・サルダナ)も、バーバラのことを心配してくれて……。
バーバラから目が離せなかった。秘密の場所で何か不気味なものを作ったり、望遠鏡で海をみたり、鳥の動きを眺めたり、自然の様子を書き留めたり、一生懸命やっている。住民たちを「巨人」から守ろうと必死な様子で「神憑り」めいている。
彼女の真剣さからすると「自然災害」を予知する能力があるのだろうか、とも感じた。
でも、最後でわかった。この少女の願いを……。終わり方はホッとさせるものだった。子どもだからこそ、こういう行動とってしまうんだなと抱きしめてあげたい気持ちでいっぱいになった。
🎬『聖☆おにいさん』福田雄一監督/77分/(名古屋西区)イオンシネマ・ワンダーにて
イエス様とブッダ様が東京の立川の安アパートで暮らすという中村光の人気ギャグ漫画の映画化。5年ほど前にアニメでも見たがユニークな設定で面白かった。
実写ではイエスが松山ケンイチさん。性質はのんびりしていて飽きっぽい。ブッタは染谷将太さん。理屈っぽくて繊細。でも慣れない下界の生活にうろたえる2人の姿は微笑ましくてクスッと笑えるところがたくさんあった。
時々、製作総指揮の山田孝之さんが撮影裏話を福田監督と一緒に盛り上がっている映像がはさまれていた。