🎬『若い女』レオノール・セライユ監督/フランス/97分/名古屋伏見ミリオンにて
パリに住む31歳のポーラ(レティシア・ドッシュ)は、10年も付き合った大学教授であり写真家の恋人・ジョアキム(グレゴワール・モンサンジョン)から突然別れを告げられる。
住むところも仕事もお金もないポーラは恋人の飼い猫と一緒にパリの友人宅や安ホテルを転々とするが、風変わりな性格と猫同伴とあって、追い出されてしまう。切羽詰まって何年も会っていない母親にもけんもほろろに拒絶されて……。
大学教授の彼氏と10年もよく続いたと思うぐらい風変わりな性格。その10年間、学生時代もあったと思うが何もせずに……というのがとっても引っかかった。
風変わりなポーラだが嘘つき名人でもあった。猫は隠したままだったり、人間違いをいいことに幼なじみになり切ったり、タバコ吸っているのに窓を開けたらどこかから煙が入ってきたのとか、その場その場で言い繕っている。
ミッキーの10メートル以内にいなければ面白いけど、それ以内にはいてもらいたくない若い女。
どうにか下着売り場のバイトが見つかってホッとするが……。
この映画の終わり方は人によっては「ここからが観たかったのに」と思わせるかもしれないが、ここからポーラの本当の意味でちょっと遅いが「人生本番!」と思わせてくれる。
やっぱりお一人さまでの鑑賞をオススメする。
🎬『きみの鳥はうたえる』三宅唱監督/106分/今池シネマテークにて
僕(柄本佑)は函館郊外の中古本書店で働きながら、アパートで失業中の静雄(染谷将太)と生活していた。ある日、同じ書店で働く佐知子(石橋静河)と親しくなって、2人の生活の場に立ち寄るようになる。
彼女は店長の島田(萩原聖人)とも関係にあるが、僕、佐知子、静雄の3人は夏の間、毎晩のように酒を飲んだり、カラオケに行ったりするようになって……。
北海道函館市出身の作家・佐藤泰志の映画化は『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』そして今作の『きみの鳥はうたえる』。
今までの3作品とは違う感触だった。こうも無為に過ごすひと夏の日々がダラダラと映されてはミッキーお得意の居眠りが始まった。起きていたらきっと途中退場だが、眠ったから最後まで観てしまった。
その最後の最後でキラっと光ったシーンがあった。ここで初めてのらりくらりとヘラヘラしていた「僕」が「我」をはっきり出して訴える。柄本佑さんの両極端演技が冴えていた。
⭐︎今池から名古屋駅に行く12、3分の間に急病の方を2人見た。1人は今池地下鉄ホームで老夫婦のおばあさんが動けなくなって救急隊員にタンカーにのせられていた。そして地下鉄内部では中学生男子が倒れて大騒ぎになって駅で地下鉄が止まってしまった。暑い猛暑の後の身体は老若男女、誰しも弱っているのだろうか。
🎬『若おかみは小学生!』高坂希太郎監督/94分/ミッドランドスクエアシネマ 2にて
小学6年生の おっこ こと関織子(声:小林星蘭)は交通事故で両親を亡くし、お婆ちゃんが経営する旅館「春の屋」に引き取られる。
ここにはおっこだけに見える、昔から住み着いているユーレイがいた。ウリ坊(声:松田颯水)、美陽(声:遠藤璃菜)、子鬼の鈴鬼(声:小桜エツコ)の3幽霊で、若おかみ修行の手助けをしてくれて……。
講談社青い鳥文庫で累計発行部数300万部の人気シリーズとなった令丈ヒロ子の児童文学を劇場向けにアニメ化。
会場は大人ばかりが20人ほど。ミッキーはこれで今日3本目。身体の力を抜いて楽しめた。
なんやかんやあっても終わりはわかっている。わかっていて楽しめるのは、有名俳優さんの声を借りずに声優さんだけでやっていることが大きなポイントだ。特に大女将の一龍斎春水さん、女中頭の一龍斎貞友さんたちの温かく落ち着いたお声がよかった。
俳優さんがやってよかったのは今年になって『ペンギン・ハイウエイ』だけだ。