第二次世界大戦下。アウシュヴィッツと並ぶ絶滅収容所(☆)ソビボルでは、多くのユダヤ人やロマの人が国籍や貧富の差など関係なく列車で送り込まれ、ガス室で大量殺戮されていた。
そんな死んでいくユダヤ人の中で、体力のある男は列車からガス室に誘導したり、死体を運んだりするために働かされ、美しい女は料理を作ったりドイツ兵の身の周りの世話をしたりして労働と屈辱の日々を生きていた。
そこに、1943年9月。ソ連の軍人(☆)でサーシャことアレクサンドル・ペチェルスキー(コンスタンチン・ハベンスキー 監督)が収容所に移送されてくる。彼と仲間たちは反乱を計画。それは収容者全員の脱出だった。彼は入ってから22日目に実行された。
ソビボルと聞いて2015年に観た『ソビブル、1943年10月14日午後4時』(クロード・ランズマン監督/フランス)をすぐ思い出した。監督さんはSHOAHの(503分)インタビューした中の一つだったが、内容が度肝を抜くものであった為に、単独に作った作品。
その作品の感想は
★全編、インタビュー形式になっていて、監督さんがイェフダ・レルネルさんに質問する、それを通訳がレルネルに伝える、通訳が監督に伝える……という繰り返しの中で、切々と語られる「ソビブル収容所でのユダヤ人による武装蜂起」の一部始終。
憑かれたかのように語るレルネルさんに監督は「お顔が青ざめていますが、大丈夫ですか」と尋ねるシーンが印象的だった。
題名は武装蜂起した日時を示している。 この蜂起がきっかけで、ソビブル収容所ではユダヤ人撲滅に終止符をうたれた。
昨日観た『ヒトラーと戦った22日間』は収容所の内部を生々しく描いていた。ドイツ将校クラスの横暴をこんなに詳しく映像に描いているのは観たことがない(ニュース実像を入れている作品は多くあったが)。
そしてユダヤ人たちが蜂起する当日に10人以上の身分の高いドイツ兵を、靴磨きの少年が「素晴らしい皮のコートを見つけた。一番にあなたに声をかけたが、どうですか」とか「新品同様の皮のブーツがある」と言って誘い出して「殺す」場面もあり、それが3回、4回と続く……。
だからオススメの作品ではあるが、覚悟して観ていただきたい。
☆ポーランド東部のルブリン県・ソビボル村は寒村で森の中にあり、鉄道駅が近かったために絶滅収容所として条件がそろっていた。
☆サーシャはユダヤ系のソ連赤軍将校。ドイツ軍の戦争捕虜であったが、ユダヤ系と判明したため強制収容所へ移された。
☆300人ほどが脱走したが約100人は死に、約100人以上は収容所近隣のポーランド人によって殺され、生き残った人は50人ほど。