インターセックス(性分化疾患)と判明した新井さんがアシスタントでゲイのうさき こう君と過ごす日々や、同じセクシュアルマイノリティの人たちの交流を映し出しているドキュメンタリー。
新井さんは30歳まで女性として暮らしてきて、劇団を主宰する男性と結婚もしていた。その劇団の舞台装置など今でもたまに手伝っていて「この人は元パートナーで」と、劇団員に紹介している。
新井さんの横には若くて美形なこう君がにっこり付き添っている。こう君との同居生活も10年だ。2人は「仲良しの友人」という雰囲気だった。
お料理するのも「ご飯できたよ」と起こすのも役割分担されてなくて、協力し合っているところがいい。特別な人・インターセックスのドキュメンタリーとかた苦しく構えて観る必要はない。
しかし、カメラが入ったということで2人の関係が……。でもご心配なく。きっと今でも仲良く同じ屋根の下で暮らしているはずだ。
☆撮影場所が東京の中野界隈や名古屋なので楽しめたし、名古屋の専門学校で教える新井さんの授業風景も見られて良かった。
🎬『スカブロ』矢城潤一監督/101分
東京でうだつの上がらない俳優をしている海野龍助(窪塚俊介)は数年ぶりに横須賀に帰ってきた。龍助の弟・虎太(RUEED)は、数年前に兄弟で始めた便利屋を今でも一人でやっていて、その傍でミュージシャンもやっている。
兄弟の実家は、母親は食堂を経営、その隅っこの席にはいつも元警官の父親が新聞を読んでいる。(この場面の雰囲気がいい)
「便利屋が忙しいから、兄貴、手伝ってよ」と言われ仕事を手伝っていたら、若い女性・ナオミ(AISHA)が、「私は、米軍基地の軍人と日本人ジャズシンガー・ヨーコの娘で、数ヶ月前に亡くなった父親の手紙を、父の友人に届けるため横須賀に来た」と片言の日本語で話しかけてきた。
兄弟は仕事の合間にナオミの友人探しをしたり、住まいも提供したり……。
役の上で窪塚俊介じゃなくて窪塚洋介かと思って『性別が、ない!』の次に観た。この役なら洋介がいいんじゃないのかと思ったが、弟・俊介で◎だった。芯の固さが良かった。
何が面白かったかといえば、全編に「横須賀」空気感が流れていること。東京と横須賀なんて1時間もかからずに行ける距離だが、時空距離、感覚距離はその数倍だろう。
その雰囲気がとっても懐かしく(行ったこともないのに)観入ってしまった。