ミッキーの心に響いた作品を紹介したい。明日も同じプログラムがあるので是非ともお越しいただきたい。
短編プログラム1 「場と幻想」想像の中にある場所。心の中にもある場所の物語。
★「華麗なる外出」アン・ヒョンヘ 監督/10分
ほとんど真っ暗な部屋で女は外出するために化粧を始める。彼女がマニキュアをする。口紅をぬる、その手つき、目つきに惹きつけられた。鏡に映る彼女の顔はシンプルで美しい。彼女自身も満足そうだ。女の持っている武器に磨きをかけて、さあ、出来上がったらもう「他人」に委ねる勇気を持って外に出る……。
ストーリーも絵柄も、そして音楽もピカ一の作品。
(インディ・アニフェスト2017 KIAFA特別賞)
★「花咲く手紙」カン・ヒジン 監督(来場)/11分
脱北した20代の女性2人が韓国に定着していく姿を描いたドキュメンタリー・アニメーション。韓国では「北朝鮮」のことについて無関心。
脱北してきた女性が「北」の幸せな時を語っていた。北には「思春期」と「イジメ」はないという言葉に大層驚いた。
★「パシャッパシャッ」キム・ヘミ監督/約 6分
父は娘の誕生日を祝うためにソウルへやってくる。娘は父親と過ごす時の居心地の悪さを感じている。
パシャッ、パシャッの音は写真の音だった。お父さんだって都会に出て美しく大人びた娘に戸惑っている。ふと、幼い時の父親との一コマを思い出す娘。最後、しんみりした作品。
短編プログラム2 「記憶+時間」懐かしい人々を思い出す時間。思い出と現実が向かい合うその時、涙が頬をつたう。
★「母とカッコウ時計」ユ・ジェヒ、ミン・ジヘ 監督/3分28秒
一日中、娘が来るのを待っている母親の物語。
家事の合間に窓をのぞいては娘の来るのを待っている。もうそろそろ来る時なのに。あ、娘がきた。早く早く、つもる話をしよう。その時、カッコウ時計が大きくなる。夢から覚めて、仏壇の前で力なく座り込む老母。寂しいストーリーだが画面の色合いは優しい。
★「ドアスコープ」ハ・スファ監督/3分9秒
私はドアののぞき穴を見ると、恥ずかしい記憶がよみがえる。亡き祖母の姿にいつも悔やんでいる私がいる。
年寄りの口喧しさ。そのうっとおしさは想像できる。老女の表情がだんだんと弱くなっていくと共に切なさが溢れてきた。全編に🎶「埴生の宿」の楽曲が流れていた。
★「2人の女」オム・ヒョナ監督/約4分
もう一人前の娘なのに、気になって仕方ない母親。娘の方は口では偉そうなことを言っても心中は母親を頼っている。
いつもいると思うな「親と金」のことわざを思い出した。ミッキーの経験では、悲しみの中で「親が亡くなって、初めて親になれた」気がした。
シュールな線の描き方が、ウェットになりがちな話をスッキリまとめていた。