シドニーから千里眼、万里眼、億里眼 かと思えるラインに驚いた。まあ、娘は仕事中だからすぐにはブログは見ないと思うので帰ってから白状しよう。
🎬『 おれの行く道』山根成之監督/1975年/岐阜ロイヤル劇場にて
信州の大学に通い山登りばかりしている耕三(西城秀樹)は、母親の一周忌に実家のある千葉県成田市にやってきたが、駅前のパチンコ屋に入ってすってしまい、ちょっとした口論で大喧嘩になり、止めに入った警官まで殴ったから一晩留置所でご厄介になる。もちろん、法要には遅れてしまい、兄妹たちに散々叱られる。
北海道から出てきた祖母のキク(田中絹代)も耕三の勝手な振舞いについ小言を言う。キクは亡夫の残した広大な何億という土地を所有しているが、あまりに孫たちが優しく同居しようというので、それならと、北海道の地を売って成田に来たが……。
これはDVDになっていないのでロイヤル劇場でみるしかない!と、頑張って来て良かった。雨降りの朝一だから観客は3人。ミッキーと若い女の子と中年の紳士だった。
西城秀樹が普通の青年を自然体で演じていた。もっとキラキラまばゆい光を放っているかと想像していたが、そんなのは一切ない普通の青年だった。減らず口ばかりたたいて皆からちょっと嫌われ者扱いだが、そんなこと屁でもないと飄々としている。
お亡くなりになってから、ニュースで歌を聴いたり、今日は初めてスクリーンの中の彼を見たが。今頃、良い所で田中絹代さんと2人で愉快にやっているのでは……と思いを馳せている。
☆ミッキーに是非観たらと薦めてくださった ねんねこさんの評も。
追悼・西城秀樹さん『おれの行く道』 by ねんねこ
岐阜ロイヤル劇場で『おれの行く道』('75)を観てきました。そのタイトルから てっきり「西城秀樹さんが歌って踊る、青春アイドル映画」なんだと思ってました。確かに あの『寺内貫太郎一家』でのヒデキみたいに暴れまくりますし、元気イッパイなヒデキを見られますが、コレ実は名女優田中絹代さん主演の松竹映画お得意の人情喜劇でした。どうして、このタイトルなんだろ?
河原崎長一郎さん、夏純子さんら孫たちとそれぞれの夫婦が、おばあちゃんの財産を目当てに画策する様を、やや実験的な映像表現も用いて面白く描いています。
物語の主な舞台は千葉県の成田山界隈。昭和の空気感も存分に味わえます。おばあちゃんが歩く町の風景に映画館街が出てきますが、多くの懐かしい映画看板(『タワーリング・インフェルノ』だ!『ロンゲスト・ヤード』だ!!)に混じって、なんと「ロイヤル劇場」の館名が一瞬映ります! とは言っても、ロケ地が岐阜ではないと思うで、勿論ここのロイヤル劇場ではないでしょうけどね。岐阜ロイヤル劇場の支配人さんやスタッフさんたちは気がついているかな?観てないかな?
孫にあたる6人の兄弟姉妹の三男坊がヒデキで、その妹である末っ子が池上季実子さんなのですが、あの『冬の華』('78)での可憐な姿はデビュー間もない頃の石原さとみさんを彷彿とさせたものでした。この映画は、そのさらに3年も前なので、ものすごく可愛いです!現在では貫禄十分な女優さんになられましたね。石原さとみさんもやがて貫禄十分になるのでしょうか…。
山根成之監督はこの前年にも西城秀樹さんと組んでいて、早乙女愛さんとのペアで『愛と誠』を撮っています。この愛と誠、二人とも もういないんですね…その他、由美かおるさん&仲雅美さんの『同棲時代 -今日子と次郎-』('73)や、郷ひろみさん&浅茅陽子さんで『おとうと』('76)など、わりとアイドル系の人の映画を多く発表している監督さんです。
『おれの行く道』は、映画史に名を刻むような傑作とは言えませんし、なにかと疑問も残る出来ですが、楽しめることは請け合います! 現代でも通用する話ですし、人によっては かなり身につまされるかもしれません。なにより、この機会に観ておかないと 今後また観ることはおそらく叶わないでしょう。
岐阜ロイヤル劇場さん、よくぞ この映画を掘り出してきてくださいました!ありがとうロイヤル劇場!ありがとうヒデキ!!
来週は、追悼・星由里子さん『ハワイの若大将』('63)です。