5月26日〜6月21日に国立映画アーカイブ(元・東京国立近代美術館フィルムセンター)で 映画で旅するヨーロッパ「EUフィルムデーズ2018」https://eufilmdays.jp と6月21日〜24日に横浜で「フランス映画祭2018」http://unifrance.jp/festival/2018/latest/
フランス映画祭は横浜に13年ぶりに里帰り。横浜の会場は横浜みなとみらいホールとイオンシネマみなとみらいで開催される。フランス独自の香り高い映画と横浜がとてもマッチしているようで、その雰囲気も楽しみたいと思っている。
「EUフィルムデーズ 2018」のうちで観ている作品を紹介する。
★『マッド・メアリー』ダレン・ソーントン監督/アイルランド
メアリーは喧嘩で女性の顔に傷つけ、刑務所に半年入っていた。一人で地元に帰った彼女は大親友のシャーリーンがもうすぐ結婚するので式に同伴する男を見つけようと「彼」探しに必死になるが……。
喧嘩っ早く、そのせいで前科ありのメアリー。一方のシャーリーンは美人で常識的な女性だがけっこうずけずけ言うし、人使いもあらい。
親友だった手前、ブライダルメイトを頼むが、条件はペアでと言ったら断ると思っているシャーリーン。本気だしてメアリーが相手を探すのでハラハラしている。
ちょっと痛々しいが魅力的な作品だった。メアリーを演じる女優さんのぽってりとした唇がとてもセクシーだった。この作品は2017年のアイルランド・アカデミー賞の最優秀映画賞を受賞した。
★『人間の値打ち』パオロ・ヴィルズィ 監督/イタリア
ミラノの北にあるロンバルディア州のブリアンツァに住む不動産屋のディーノ(ファブリツィオ・ベンティヴォッリョ)は、娘セレーナ(マティルデ・ジョーリ)のボーイフレンドを通じて、裕福な投資家ベルナスキー家の当主ジョヴァンニ(ファブリツィオ・ジフーニ)と知り合う。
彼は一攫千金をねらい、借金をしてまでジョヴァンニのファンドに投資する。だが、ある交通事故をきっかけに、この二つの階級の家庭の内幕があらわになって行く。
砂糖のあるところには蟻がたかるが、金のあるところには欲深な人間、調子の良い人間が集まる。誰しも「私はそういう振る舞いはしない」とは言い切れない思う。そんな人間の弱さが、とてもシビアに描かれている。
★『エリザのために』クリスティアン・ムンジウ監督/ルーマニア
ルーマニアに住む50歳になる医師ロメオ(アドリアン・ティティエニ)には、イギリスのケンブリッジ大学に留学するための重要な試験を控えた愛娘エリザ(マリア・ドラグシ)がいる。ロメオには若い愛人がいて、家庭は決してうまくいっているとは言えない。
ある朝、ロメオは車で娘を学校まで送っていくが「ここでいいわ」と言われて学校のそばで降ろすが、そこから学校までの途中で暴漢に襲われてしまう。
大事にはならなかったが、娘の動揺は大きく、留学を決める最終試験に影響が出そうと心配したロメオは、警察署長、副市長、試験監督とあらゆるツテを頼って試験に少しでも有利に運ぼうと奔走するが……。
監督さんは、チャウシェスク政権下のルーマニアで違法な中絶をする女子学生と、それに付き添うルームメイトの辛く長い一日を描いた『4ヶ月、3週と2日』、2005年にルーマニアの修道院で実際起こった「悪魔つき事件」を基に描かれた『汚れなき祈り』のクリスティアン・ムンジウの最新作。
さっき観たばかりの映画すらぼんやり気味のミッキー。でもこの監督さんの作品だけはしっかり(?)覚えている。突き刺さる映画と言える、特に女性には。家族1人ひとりに共感や反発を感じた。