39歳の濱島浩司(安部賢一)はプロ野球選手として活躍していたが、8年まえに戦力外通告を受けた。その後、生活は荒れ、それが原因で彼は妻や愛する一人息子と別れた。
濱島は故郷の北九州で親友の居酒屋を手伝うことにしたが、パチンコや酒に溺れてしまい、さらに親友の妻と浮気するという生活の中、濱島はいつも行くラーメン屋で、40歳以上でも競輪選手になれると小耳に挟んだ。
そんな時、かわいい息子から携帯にかかって来た。不意に競輪の選手になる学校に行くんだ……と口をついて出てしまった。息子は「お父さん、すごいよ、頑張ってね」と言われては後には引けなかった。
観ていて身体が熱くなった。
主役の阿部さんは大分県出身の方で、高校までは野球をやっていて卒業後は競輪選手になろうとするが限界を感じて断念。その後、役者の道を目指していた。その中でこの脚本に出会い「濱島を演じるのは俺しかいない」とオーディションを受けて主演を勝ち取った。
まさに阿部賢一=濱島浩司だ。この映画のための半生だったといえる。
競輪学校の訓練はミッキーが想像する以上に過酷なもので、教官からの嫌み、若い訓練生グループからのイジメなども凄まじいものだった。
そんな中で脇目もふらず己と闘う久松孝明(福山翔大)と、「お父さん、野球教えて」などと言って慕ってくる息子の存在が、彼を大きく変えていく……その道のりを圧倒的なリアリティで描かれている。
☆特筆することが二つある。一つはチラシのデザインや色目が良かった。それともう一つ、あまり出番はないがモロ師岡さんの立ち位置が観ている者のりきみを和らげてくれた。
☆シネマジャーナル(白)さんの監督インタビューも是非ご覧ください。
http://www.cinemajournal.net/special/2018/gachiboshi/index.html