1967年、桜井昌司さんと杉山卓男さんは茨城県で起きた「布川事件」で逮捕されて、約29年間の獄中生活を送る。2011年に無罪が確定する。
1990年、菅家利和さんは栃木県で起きた「足利事件」で4歳の女児殺しの犯人に仕立て上げられて約17年間の獄中生活の末に、2010年に再審で無罪が確定する。
石川一雄さんは狭山事件で死刑判決を受けて31年、袴田巖さんは袴田事件で死刑判決を受けて48年と同様に無実の罪を着せられた。
『袴田巖 夢の間の世の中』『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』の金聖雄監督が、5人の冤罪被害者にカメラを向けたドキュメンタリー。
彼ら5人のつながりはほとんどなかったが、「足利事件」の菅家利和さんの釈放の時にお互い連携するようになった。
以前、井手洋子監督の『ショージとタカオ』(桜井昌司さんと杉山卓男さん)を思いだした。監督が仮釈放された1996年秋から再審公判が始まった2010年夏までの14年間に密着してカメラに収めていて、2011年の山形ドキュメンタリー映画祭でも上映された。
今日観たスクリーンの中で卓男さんは亡くなられたが、桜井さんはお話も面白く、自作の歌もうまく、暗いばかりの話の中に明るさと笑いがあった。
石川さんは、歩いて2、3分の両親の墓には「無罪」報告ができるまで絶対行かないと言い切り、袴田さんは死刑執行の恐怖で独自の世界に入り込んで意味不明な言葉を羅列していたが、仲間たちと付き合うようになって「半分」現実に戻ってきて笑顔をみせてくれた。でも無罪確定はされていない。
文字で書きつくせない場面がいっぱいで、一つひとつのことが深くミッキーの心に突き刺さった。