先日、6月公開の橋本光二郎監督『羊と鋼の森』を観た。原作は2016年・第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説。高校でピアノ調律師と出会い、そのピアノの音色に魅せられ、自身も調律の世界を目指すお話。
元音楽関係の仕事をしていたミッキーには突っ込みどころが多々あった。ピアノ調律のドキュメンタリー『ピアノマニア』を思い出したので書いてみた。
🎬『ピアノマニア』ロベルト・シビス、リリアン・フランク監督/オーストリア・ドイツ/97分/2009年
このドキュメンタリー映画は調律師に光を当てている。主人公のシュテファン・クニュップファーは、世界一のピアノ、スタインウェイ社専属のドイツ人調律師。
バッハ晩年の未完の傑作“フーガの技法”に、フランスを代表するピアニスト・ピエール=ロラン・エマールが挑むことになった。選ばれたピアノは、スタインウェイ社の<245番>。
録音までの一年をウィーン・コンツェルトハウスで、調律師がそのピアノと格闘する日々を追っている。
主人公のシュテファン・クニュップファーはピエール=ロラン・エマールの表現する音を的確に捉えていて、それも音が出た瞬間のみではなく、音が空中を泳いで行く時の振動音にまで及ぶ・・・それをこの調律師は理想の音に近づけている。
この2人に負けず劣らずレコード技術者も楽譜を見ていて「ここのFの音、少し音を外しましたね。ここだけ音程が高くなって・・・」など簡単に言ってのけるマニア集団。
フランスを代表するピアニスト・ピエール=ロラン・エマールを調べてみたが、この方、演奏プログラムに非常にこだわりを持っていて、古典と現代の曲が交互に演奏されても、そこで見えてくるのは、その曲と曲の繋がりの<新しい発見>があると書いてあった。