1990年代初めのフランス・パリ。「Act Up-Paris」はエイズの偏見を正しく伝えようと、新薬の研究成果を出し渋る製薬会社を襲ったり、ゲイのパレードに参加したりして活動をしていた。そんな中で、中心的な存在のショーン(ナウエル・ペレース・ビスカヤート)は仲間のナタン(アルノー・ヴァロワ)と愛し合うようになるが、ショーンは次第にエイズの症状が表れてきて……。
1990年代初めのパリを舞台にエイズにまつわる差別や不当な扱いに抗議する活動家たちを描いたヒューマンドラマ。同団体のメンバーだったロバン・カンピヨ氏(『パリ20区、僕たちのクラス』の脚本・編集を担当)が実体験を元に監督したもので、第70回カンヌ国際映画祭でグランプリと国際映画批評家連盟賞をダブル受賞した作品。
これを観て、思い出した作品があった。2年前のレインボーリール映画祭(L&G映画祭)で上映された『パリ 05:59』だ。(一般公開されていないがこの映画祭の中でも出色の作品だった。
これは初対面のゲイの若者が情熱的なセックスをした後で、防備のものをしていなかったことに気づいて夜中パリの街の薬局、緊急の病院を探し回る映画で、作品製作は2016年。これを観た時に「夜中でも対応する医療関係の対応とノウハウ」に唸ってしまった。
今から28年前から始まった運動が、きっと功を奏していたのか……と感慨深く観た。
出演した若者は有名な俳優さんはいなかったが、皆、知的な面立ちで好感が持てた。エイズを扱った問題作ではあるが、瑞々しい青春映画だ。
☆「Act Up-Paris」とは、1987年に発足したエイズ・アクティビストの団体。エイズ政策に感染者の声を反映させる活動や、差別や不当な扱いに抗議している。