疎遠だった実姉の訃報で故郷に帰った絵梨子(久保陽香)だが、葬式は親戚がすべて采配してくれて、喪主挨拶も代筆されたのをただ読むだけだった。
亡くなった姉の職業は葬式の「泣き屋」。
父親が誰だかわからない姉の幼い息子のこともあり、絵梨子はここで生活することを考え始めていた。彼女自身、東京で女優を目指して十年、生き詰まっていたのだ。
女性監督作品で期待以上の出来だった。嬉しい。
葬式で「泣く」仕事は、女優であった絵梨子にうってつけの職業と思い、亡き姉の勤めていた会社の女社長に社員にしてくれと頼むが、そう簡単な仕事ではなかった。
女社長は「私たちの泣きは、葬式にきている方々に、故人を偲ぶ道筋を作るために必要なこと、大袈裟に泣くことではない」と言う台詞が印象に残った。
☆題名で女心をドギマギさせて、泣き屋という設定で驚かせて、涙の持つ力を教えてくれた。地味だが変な「力み」がないのが良かった。
☆まあ、女も見栄を張らなくなったらオシマイとも言えなくもないが……。