🎬『ザ・キング 』ハン・ジェリム監督・脚本/韓国/134分/3月10日よりシネマート新宿他にて全国順次ロードショー公開
喧嘩好きで貧しい少年だったパク・テス(チョ・インソン)は暴力より権力の力を見せつけられて、検事にあこがれ、猛勉強してソウル大学に入った。会社経営のお嬢様と結婚して幸せに暮らしていた。
だが、ある事件がきっかけになってソウル中央地検のエリート部長・ガンシク(チョン・ウソン)に気に入られから、テスの人生が激変する。
『ありふれた悪事』とほぼ同時代で警察と地検と違うだけでストーリー展開も同じようなのでびっくり。韓国はこういうことが日常茶飯事なんだろうかと思ってしまう。
ミッキーのお目当てのチョン・ウソンは最後まで「出世することだけに人生をかけている策士」をぶれない演技で楽しませてくれた。
この中で一番うまく立ち回ったのは2番手ぐらいに位置する奴で、韓国社会だけでなくて、けっこうどの社会でもそんな場合が多いのではと感じた。
幼なじみで今はヤクザのドゥイル(リュ・ジュンヨル)の3枚目(二枚目半かな)が出色の出来で、他のイケメンは口元キリリだが、彼だけ唇がぽってりしていてミッキー好みだった。
🎬『彼の見つめる先に』ダニエル・ヒベイロ監督/ブラジル/96分/3月10日より新宿シネマカリテ他にて全国順次ロードショー公開
生まれつき目の見えない高校生のレオ(ジュレルメ・ロボ)は、過保護な両親と近くに住む優しい祖母、そしていつもそばにいてくれるご近所の幼なじみの女の子ジョバンナ(テス・アモリン)に囲まれて平穏な生活を送っていた。
ある日、彼のクラスにガブリエル(ファビオ・アウディ)という少年が転校して来て、レオの後ろの席になった。レオとジョバンナは、目の見えないことがわかっても特別気にもしないガブリエルと次第に仲良くなっていく。
2014年のベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞とテディ賞(セクシュアル・マイノリティの人たちをテーマにした作品)を受賞。
ブラジル・サンパウロを舞台に思春期の若者たちの感情を瑞々しく描いている。
ガブリエルが入って3人になってからレオの世界がどんどん広がっていく。目が見えないからと今まで行ったこともない映画館、月の満ち欠けを仰ぎ見る、自転車に乗るなど、レオのおばあちゃん世代のミッキーはハラハラした。
中国の『ブラインド・マッサージ』でも思ったことだが、目の見えない人は何を基準に「愛する」という気持ちを持つのだろうか。このブラジルの青春映画を観てそれが少しわかったような気がした。
レオが「ジョバンナはきれいなの」と親しくなったガブリエルに聞くシーンがある。子どもの頃から一緒で気を許して毎日登下校しているのにわからないもどかしさを感じさせる切ない部分ではあるが、この質問には意味があって、数日前、父親が「久しぶりにジョバンナにあったけど、美しくなったなぁ」と言うと「どんなに美しくなってた?」とレオが聞くと「大人の女性になってたな」と上手く説明していた。
ヒベイロ監督の脚本と演出の力はあともう少しでブラジルを代表する映画監督となる素質を十分に感じさせてくれた。