相手はけっこう見る顔で、ミッキーの顔をみて「あ、すみません、お袋と間違えて、すみません」と何度も謝られたが、こちらの胸はドキドキ、顔はひきつって体が縮こまってしまった。朝っぱらからあまりいい出だしではなかった。
さてスコーレで観たのはいいとか悪いとか言う前に、不思議な内容、不思議なストーリーの2つ重なって非常に疲れた。どこにも寄らずに家に帰り2時間夕寝して今、日記を書いている。今も頭から映画のことが離れない。
🎬『リーディング〜エドガー・ケイシーが遺した、人類の道筋。〜』白鳥哲監督/96分/2018年
奇跡のリーディングの能力を持っていたエドガー・ケイシー(1877〜1945)。彼自身が催眠状態に入ると、相手の肉体を透視し病気の原因を突き止め、的確な治療法を発し治癒していた。彼の驚くべき能力と人生、リーディングの謎に迫っている。
スコーレにはウィークデーの朝10時というのに生真面目そうな壮年男女でほぼ満員。
リーディングの能力の始まりは若い時にエドガー・ケイシーが声が出なくなって催眠療法をしていた時、催眠にかかっているケイシーが自分の治癒法をつぶやいたことがきっかけで、いろんな人と直接会って治癒したらしい。
いろんな食べ物についても、ひまし油のパックもとても興味深いことだらけで、死の淵にいて救われた人々のインタビューを聞いているうちに「信じ切ってしまう」妙な高揚感に包まれてしまった。不純に満ちたミッキーだから素直に信じ込むことはできなかったが……。
イメージ画像が宗教臭く、後半になるに従ってどんどん話が大きくなっていく。劇場の雰囲気は真剣そのものだった。ひまし油や生野菜のことはもっと調べてやってみようかと思っている。
🎬『幻の湖』橋本忍監督/164分/1982年
風俗嬢の道子(南條玲子)は琵琶湖の周辺を偶然拾った白い犬のシロを先頭にしていつも走っていた。身体で稼いだお金を銀行員の倉田に預けていたことから、彼から上等なジョギングシューズをプレゼントしてくれたのも走り続けることができた一因でもあった。
そんなある日、シロの後を走っていると笛を吹く男・長尾に出会った。ひと目、会った時から深い因縁を直感した道子だった。それからしばらくしてシロが何者かに撲殺された。犯人は有名な作曲家の日夏であることを知った道子は、復讐のために東京に行くが……。
これは東宝映画50周年記念映画として作られたが2週間で打ち切られた伝説の作品。
うーん、その時代(35年以上前)で164分は辛い。そのうち5分の1は走っているシーン。ソープの裏側、戦国時代、現代の愛犬殺しの敵討ち、彼女と誠実な銀行員の恋愛、そして笛を吹く男の宇宙遊泳……盛りだくさんで、お腹いっぱいになる展開の激しさだが「今」は絶対作れない作品。観ていて退屈しないし、彼女の喘ぎながら走る姿には神々しささえ感じた。