上映作品の一部をご覧いただきたい。
🎬『アンチポルノ』園子温監督・脚本/78分
小説家でアーティストとしても有名になった若い京子(冨手麻妙)は、極彩色の広い部屋に住んでいて、マネージャーの典子(筒井真理子)が分刻みのスケジュール管理をしている。その関係は時によって変わり、虚構と現実の間で京子の過去の秘密が暴かれていく。
ガラリと変わる京子の立場、極彩色の広いスペースの一部屋だがトイレの仕切りもない。排泄物はゲロだけ。その密室で繰り広げられる悪夢のような展開は、説明は無用 ! 是非、この部屋に取り込まれてほしい。
園子温監督の実力がこの作品に於いても観ることが出来た。主演女優の富手麻妙さんのセーラー服姿がエロチック、それと大声で囁く声も魅力的だった。
🎬『映画 山田孝之3D』山下敦弘、松江哲明監督/77分
山田孝之ファンには見逃せないちょっと変わったドキュメンタリー。最初に芦田愛菜さんの挨拶がある(野太い嫌な声だった)。中央に椅子が置かれ主人公の山田孝之さんが座り心地悪そうに、今からどう始まるのかと不安気な様子。
監督さんが質問して彼が言葉を選びながらとつとつと話始める。 いつもと雰囲気が違う。「生」山田孝之だ。これを3Dにしてどうなの?と思ったが……。
彼の33歳までの中で一番幸せと思ったことは?という質問に、
自分が小学生の時に、あまりうちにいなかった父親がレコードを聴いていて、母親が洗濯ものをたたんでいて、姉二人はどこか行ってていなくて、ぼくと三人が部屋にいる何でもないひとときのことをよく覚えていて、その時の一瞬を幸せと思った。
と、語っていた。他にもいろいろ家庭の事情をポロポロと話していたが、この時ミッキーは涙がこぼれた。
山田は生家のあった鹿児島県にも赴くが更地になっていた。彼は土の中からタイルを見つけて、うちの玄関のタイルだと泣いていたシーンが一番印象的だった。演技者として興味深い山田孝之さんが「人間・山田孝之」になった一瞬でもあった。
🎬『はらはらなのか。』酒井麻衣監督/100分/ねんねこさんから感想をいただきました
現在開催中の「ええじゃないか とよはし映画祭2018」に於きまして、最終日の3月4日(日曜日)午前9時40分より、ねんねこお気に入りの『はらはらなのか。』が上映されます。出演者・監督さんらもゲストとして予定されているそうです。なにぶん早朝ですが是非ご覧いただきたく、僭越ながらご案内をさせていただきます。
園子温監督の2012年作品『地獄でなぜ悪い』(あっ!←コチラも同日13時より上映されますよ!)の冒頭、「♪全力歯ギシリ Let's GO!」と元気一杯に歌い踊り、血の海の中を華麗に滑っていった原菜乃華ちゃんが、少し大きくなって堂々主演。しかもなんと!あろうことかタイトルに自分の名を冠した映画だ!そりゃ『デブラ・ウィンガーを探して』とか『マルコヴィッチの穴』とかあったけど…。ちなみに大林宣彦監督の2014年作品『野のなななのか』は人の名前ではありませんし、゙おのののか″は映画の題名ではありません。
原案は菜乃華ちゃん自身が主演を務め、この映画にも演出家役で出演している粟島瑞丸氏による『まっ透明なAsoべんきょ〜』という舞台作品。それを粟島(クリシマじゃないよ)氏との共同脚本で『いいにおいのする映画』『ウィッチ・フウィッチ』の酒井麻衣さんが監督しました。
子役としての芸歴も長く、ご覧の通りの美少女なのになかなかオーディションに受からないナノカ。焦りを感じていたそんなある日、亡き母が出演していた舞台が再演されると知り一世一代のオーディションに挑みます。そうして、喫茶店主のリナさん(松井玲奈さん)や、なんか不思議な人もいる劇団員たちと関わる中で少しずつ成長していくのです。
ミュージカルの要素も盛り込まれていて、今や『逃げ恥』のオープニングテーマでもお馴染みのチャラン・ポ・ランタンが音楽を担当。この映画でチャラン・ポ・ランタンにはまったねんねこは、彼女らが音楽を担当している映画を探してDVDで2作品観ました。どちらも面白かったけど、それはまた別の話です。
話を戻して『はらはらなのか。』ですが、カリスマ生徒会長役を演じて独特の存在感を放つ吉田凜音さんにも御注目!彼女のミュージカルシーンも大きな見所ですよ。
少女ナノカの成長をファンタジックに描いたかわいい作品です。この機会に是非!とよはし映画祭で『はらはらなのか。』に出逢ってください。(by ねんねこ)