ミッキーは8歳まで金沢に住んでいて、冬は大雪でいつでも2階の廊下側の窓から出入りしていた。毎年のことだから上手く工夫されていて何も不自由はなかったが、屋根の下は絶対に歩かないと言い聞かせられていた。
冬にはスキー遠足があってみんな生徒たちは竹で手作りしたスキーに持ち手の縄を操って近くの山に出掛けた覚えがある。
担任の先生が冬になると毎日クラス全員のあかぎれやしもやけに油薬で丁寧にぬってくれたことをよく思い出す。先生はいつも灰色のスーツを着ていて、口紅の赤、丸っこい手が印象的だった。金沢を離れる時に母とご挨拶に自宅に行ったら、白い割烹着で出てこられたのには、子ども心に非常に驚いた覚えがあった。
あ〜、雪のニュースから昔のことを書いてしまった。
🎬『アウトサイダーズ』アダム・スミス監督/イギリス/2月10日よりシネマート新宿他にて全国順次ロードショー公開
犯罪をおかしながら、数台のトレーラーハウスで放浪生活を送ってきたカトラー一家。絶対的な支配力を持ち、一家を率いるコルビー(ブレンダン・グリーソン)は息子チャドを跡継ぎとして、数人の子分を従えて悪事の数々を行っていた。
息子チャド(マイケル・ファスベンダー)は、妻と男の子と小さな娘がいて、こんな家業から足を洗いたい、自分の家族4人だけで一つの場所で落ち着いた生活がしたいと、ある計画を練っていた。
そんなある日、チャドは父の命令でとある豪邸に強盗にはいるが……。
この作品ほど父と息子の確執と隔絶を表している作品は珍しいと思った。チャドは学校にも行かずに育ったので文字が読めず、自分の息子に「あれはなんて書いてあるんだ ?」「数を言ってみろ」とか聞いていて、答える息子を誇らしげに見つめていた。
学校にも行っていないので友人も父の子分ぐらい。彼の妻はいつかここから離れることを唯一の希望として、その時のためにお金をせっせと貯めていた。
かわいい子どもらにこんな生活は続けられないという若夫婦の気持も、コルビーのぶれない「生き方」も、観ていてどちらにも一理あって、簡単には善悪がつけがたい奥深い作品だった。
☆チャドの息子は6歳ぐらいだが、お祖父ちゃんと会話する時、お父さんと話す時とに表情が違い、お顔もブレンダン・グリーソンお祖父ちゃん似で、とても存在感のある子役だった。