16歳になり、身も心も男の子として生きたいと決断した主人公・レイ(エル・ファニング)。
医者から受け取ったホルモン治療についていろいろ話を聞いていたが、貰った資料の中に離婚以来ずっと会っていない父親のサインがいることに呆然とするシングルマザーのマギー(ナオミ・ワッツ)。
共に暮らすレズビアンのおばあちゃん・ドリー(スーザン・サランドン)はレイのカミングアウトをイマイチ理解ができないでいた。
一方、髪を短く切り、身体を鍛え生き生きしてくるレイ。彼女は転校することも考えていて新しい自分で生きようとしていた。
そんな姿を見てマギーは意を決して、治療の同意書のサインをもらうために、何年も会っていない別れた夫に会いに行くのだが……。
3世代の女優さんが見もの。
『パーティで女の子に話しかけるには』の異星人・美少女ザンの役は、エル・ファニングおいて他は考えられないほどピッタリだった。この『アバウト・レイ〜』も自分の本当の姿を追い求める多感な少女、いや、少年を演じていた。
男と軽い気持ちで関係を結んでしまう母親ナオミ・ワッツも機内で見た「The Glass Castle」(デスティン・ダニエル・クレットン監督/アメリカ/日本未公開)で画家志望で自由奔放な4人子持ちの女性を個性豊かに演じていた。彼女は母親役が板についてきた。
レズビアンでパートナーもいる辛辣なお婆ちゃんのスーザン・サランドンはあえて言うまでもない名優。
三人三様の立ち位置もしっかり描かれているが、こんだけ問題つめつめの映画のわりにはあっけない終わり方。日本ならこうは行くまい ‼︎ と最後の3分でちょっと減点。