🎬『ありふれた悪事』キム・ボンハン監督/韓国/121分/シネマート新宿にて
善人だがすこし荒っぽい刑事カン・ソンジン(ソン・ヒョンジュ)は耳は聞こえるが声が出ない妻と足の不自由な小学生の息子と3人、貧しくて辛い生活を送っていたが愛にあふれた家庭だった。
彼は親友で新聞記者のジェジン(キム・サンホ)と酒を酌み交わすことが唯一の楽しみだった。
そんなある日、大統領直属の情報機関である国家安全企画部の室長・ギュナム(チャン・ヒョク)から呼び出されたソンジンは、彼が別件で逮捕した男が、いま世間を震え上がらせている連続殺人の犯人だと告げられる。だが17人も殺した男として辻褄があわないところがたくさん出てきて……。
朝の9時45分だが大きなホールで40人くらい。ウィークデーだからまあまあの入り。時代は韓国民主化の前、軍事独裁時代。地味な作りだがずっしり重みのある作品だった。主人公のソンジンは家族を大切にするうだつの上がらない刑事だが、お金の誘惑に勝てなかった。
その描き方が「もし、あなたが同じ立場なら、信念を通すことができたか」と問いかけられているような切実な気持ちになった。
🎬『ザ・キング』ハン・ジェリム監督・脚本/韓国/134分/来年3月公開予定
喧嘩好きで貧しい少年だったパク・テス(チョ・インソン)は暴力より権力の力を見せつけられて、検事にあこがれ、猛勉強してソウル大学に入った。結婚も会社経営のお嬢様として幸せに暮らしていた。
だが、ある事件がきっかけになってソウル中央地検のエリート部長・ガンシク(チョン・ウソン)に気に入られから、テスの人生が激変する。
シネマートで先ほど観た『ありふれた悪事』とほぼ同時代で警察と地検と違うだけでストーリー展開も同じようなのでびっくり。韓国はこういうことが日常茶飯事なんだろうかと思ってしまう。
お目当てのチョン・ウソンは最後まで「出世することだけに人生をかけている策士」をぶれない演技で楽しませてくれた。
この映画がすこし長めだったので渋谷の試写室まで辿り着けなかった。『かぞくへ』はあきらめても監督さんや俳優さんがいらっしゃるような予感がしたので、プレス資料だけでもいただこうとゆっくり試写室に向かった。予想どおり春本雄二郎監督や俳優さんがおいでになった。皆さん、地に足が着いた青年だった。東京国際の原稿が載ったシネマジャーナルをお渡しした。
六本木ヒルズ『ロシア・アニメーション』は明日に。
池袋シネマロサ『インフォメン 獣の笑み、ゲスの涙』は時間的に無理だったので、帰りに東中野の銭湯「健康浴泉」で身体を温めてから娘のアパートに帰った。