首塚タカノリ(間宮祥太朗)は刑務所から出てきたばかり。出てきたのはいいが、組長の父テツジ(六平直政)の極小ヤクザ一家は上納金で四苦八苦だ。
母親のナオミ(入絵加奈子)の困りきっている姿をみて、兄のサトシ(毎熊克哉)と協力して近所の資産家一家が脱税したお金2000万円をどこかに隠しているという情報をもとに家に忍び込む。
考えなしの行き当たりバッタリのバカ加害者家族に、ヘドが出るほど趣味の悪い被害者家族……ま、適当に殺っとくれ ! とミッキーは眉間に縦じわを立てて観ていた。
これは、2004年に福岡県大牟田市で、ある一家を殺害して死刑判決になった親子4名の実話・犯罪ドラマ。
1人目は資産家の道楽息子で高校生くらい。留守かどうか確かめるために玄関をノックするが、いない様子だ。
じゃあ忍び込もうという矢先に、この息子がぬぼーっと出てきて「あ、サトシさん、おねえちゃんはいないよ」といって招き入れた大広間では、子供用プールにカレーをたくさん入れてあって、「ここで泳いでユーチューブにアップするんだ」と、本当バカバカしい顛末。
最終的に4人を殺害するが、いつの間にか殺す方に肩入れしているミッキー。そんな自分が怖くなった。
今の世の中、考えもつかない事件が起きているが、この『全員死刑』は単純な理由、単純な殺し方、ご近所さんだから手間なしで近くの川にドボンだ。これが事実なんだからやりきれない思いと疲れだけが残ったが、嫌いな映画ではない。