この2作品の監督さんの前作が良かったので、まずこの2つを選んだ。オススメ作品!だった。
🎬『笑う故郷』ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン監督/アルゼンチン、スペイン/117分/名古屋シネマスコーレにて
アルゼンチン出身でスペイン・バルセロナに住むノーベル賞作家ダニエル(オスカル・マルティネス)は、故郷の田舎町サラスから「名誉市民」の称号を与えたいという招待を受けて、40年ぶりに帰郷するが……。
ノーベル賞作家ダニエルの帰郷に駅などには湧き上がる人のお出迎えと思っていたが、オンボロ車が一台きて、運転手は愛想もなく、彼を敬い崇めているわけでもない。
途中でエンコしてしまうが携帯も繋がらない田舎道。運転手の男は「あんたの来るのを準備しているから、遅いと思ったら向こうから心配して迎えに来るだろうから、それまで待とう」とのんびりと言う。
始まりがこんな調子だから先々どんなことなるんだろうと楽しみになってきた。
『ル・コルビュジエの家』の監督さんたちだから一筋縄ではいかない。それが旨味になっているが、この新作もなかなかのくせ者たちが登場するのだ。「故郷は遠きにありて思うもの」と啄木の詩を思い出した。
🎬『オトトキ』松永大司監督/125分/ミッドランドスクエアシネマ2にて
1992年のデビューから数々のヒット曲を生み出したTHE YELLOW MONKEY。15年前に活動を休止したが、2016年に再結成。全国42公演、36万人動員のツアーで見事に復活した。彼らの復活の1年間を『トイレのピエタ』の松永大司監督がドキュメントしている。
先日の東京国際で非常に盛り上がっていたこの作品を観逃したのがとても悔しい。どうしたわけかその情報だけがすっぽり抜けていた。
もう15年以上前に吉井さんの「 JAM 」を偶然NHKの歌番組で聴いてからのファン。このドキュメンタリーでは歌っていなかったが「球根」も好きになった。
15年のNHKの時は歌の上手さも声の出し方も文句なしだったが、今は首にいっぱい筋が出ていて無理な発声をしているのではと心配になった。
ドキュメンタリーの作りはメンバー4人と関係者へのインタビュー、ファンの声、過去の映像、プライベートの様子等々がバランスよく映し出されていた。
監督さんと4人はちょうどいい距離をとっていた。『トイレのピエタ』の溢れる才能の持ち主だからこそ、瑞々しい視点で撮れたドキュメンタリーと感じた。