中国の地方のとある村に住む10歳の少年ホンポーはあだ名が「石コロ」。クラスのまとめ役的存在だ。この学校の多くの生徒たちは両親が出稼ぎで、日頃は学校の先生や電話取り次ぎの便利屋さんの男性以外は、年寄りと子どもだけの村だ。
石コロもおばあちゃんと2人で暮らしていた。石コロは行いも学業も優秀なので県の優良児童に選ばれて表彰状と真新しいサッカーボールをもらった。おばあちゃんは大喜びで表彰状を壁に飾っていた。
問題はサッカーボールで、学校には古いサッカーボールが一つしかなく、新品のボールをみんなに触らせたくない石コロはもらったことを内緒にしていたが……。
子どもの世界を嘘偽りなく描いていた。子どもには子どもの意地、恨み、友だちを思う気持ちなどが複雑に絡み合っていた。
ほのぼのと幸せな終い方と気楽にかまえていたが、子どもなりの「考え」で納得できる解決をしていた。
友だちを思う気持ち、ずっと会っていない両親への気持ちがジーンと伝わってきて涙がこぼれた。
🎬『ペット安楽死請負人』テーム・ニッキ監督/フィンランド/83分/コンペティション
フィンランドに住む中年男性のハウッカ(マッティ・オンニスマー)は機械工が本職だが副業にペットの安楽死の闇仕事をしていた。近くに住む男ペトリは飼い犬の扱いに困ってハウッカに頼むが、彼は健康な犬を殺さない主義でその犬を自分で飼うことにした。
プレスの上映でいち早く満席になった作品なので、これは観なきゃと思い一般上映の枠でみたが、後味がすこぶる悪く帰り道が遠く感じた。
確かに主役のマッティ・オンニスマーはすっくとした立ち姿、顔つきで自らの「安楽死」持論もぶれることなく好演だったが、こうも動物を殺す場面がたくさんでは参ってしまった。