ごく近い未来(映画の設定は2037年)のおはなし。日本では「超・少子化対策法案」なるものが施行され、国民の遺伝子情報を分析し、国が ゙最良の″結婚相手を決める政策がとられていた。
主人公・仁坂葵(森川葵)も、王子様との出逢いを夢見るようにその「政府公認夫婦斡旋通知」を待ちわびているのだが、そんな葵にはいつも彼女を見守ってくれて、なんでも話せる心優しい司馬優翔(北村匠海)という幼なじみがいた。
そして満16歳の誕生日を迎えた瞬間、葵の前に政府通知の ゙パートナー″高千穂蒼佑(佐藤寛太)が現れたのだった。
…と、物語の導入部のみを簡単に御紹介したわけですが、皆さんはどう思われましたでしょうか?
ねんねこの場合は…
@ このところ数えきれないほど量産されている ゙胸キュンラブストーリー″も、とうとうここまで無理矢理な力業の設定を持ち込んできたか〜!!
A 現在の日本の非婚・少子化問題と その要因(将来の生活費の不安など)を鑑みると、まんざら考えられない ゙政策″でもないな…
…と、両方とも正直な感想。
因みに、劇中でも説明されるように、この政府通知はあくまでも推奨であって必ずしも従う義務はなく、従来通り好いたモン同士結婚したいならそれはそれで自由。罰則規定もありません。
「通知に従ってその相手と結婚する者は他の相手との恋愛は禁止」となりますが、だからチラシのコピーの中に「恋愛禁止の世界」ってあるのは厳密にはちょっと違いますね。
ただし、政府公認夫婦は様々な行政サービスを受けられ不安のない生活が保証される一方、自由恋愛で結婚する夫婦には一切の援助がないため、相当な覚悟がいるようです。このあたりの設定が実にリアルだと思います。今の愚かな政権だとそのうち本当にやりそうですな。
でもこの制度、この物語の世界では大多数が好意的に受け入れています。葵の両親(遠藤章造、三浦理恵子)も政府公認夫婦。葵の叔父さん(徳井義実)だけは何かありそうです…
こんな制度、自分は断固反対だし、現実世界ではおそらく皆さん抵抗あるだろうと思ったのですが、意外にも!?
この映画の舞台挨拶に登壇した主演の三人、理由はそれぞれ若干異なるものの、いずれも制度には賛成とのこと!!
まぁ 当の映画の企画だからこそのサービストークってこともあるだろうから額面通りに受け取るのもナンだけど、「う〜ん若いのに!いや若いからこそなのか?」それほど今の若い世代は現実の厳しさに曝されているのだろうか?あるいは自由恋愛は認められない強制制度だったらどう思うのかな…
そういえば、ハナシちょっと飛びますが、ミッキーさんも先日(10/16付)書いてらした『セブン・シスターズ』って、これと正反対の状況から発した ゙政策″の許での物語ですね。あちらは増えすぎた人口問題解決のためと称する対策およびその政権と対決する物語。
だからってわけでもないけど、この『恋と嘘』も最終的には「愛は勝つ♪」とかなんとか歌い上げながら、そのオカシな政策に対して人々が何らかのアクション(抵抗)を起こすものと思って観ていたのだけど、こちらは最後まで ゙青春胸キュン″が支柱の物語でした。゙制度″は、その胸キュンストーリーの ゙舞台″に過ぎず、彼女らがその舞台から降りた後も、人々は変わらずその制度の許で生きていくということのようです。そして、それはそれで別にかまわないのでしょう。そうゆう物語なのだから。葵を巡る優翔と蒼佑の間に、友情と言って良いであろう思いが芽生える(BLではないよ!)ってのも嫌いではないし。
にしても、ちょっと引っ掛かっちゃうのは、主人公・葵の心のありよう。
蒼佑の登場後に二人の男性の間で揺れるのはわかる。わかるし、それこそ胸キュンストーリーの王道でしょう。
けど、その以前から政府通知の結婚相手が「なんとなく気にはなる」とかではなく、「心待ちにしている」というのはどういう心情なんだろう?特に意識している異性がいないんじゃなくて、優翔という ゙明らかにずっと好きな人″がいながらだよ?その心の内と無神経さだけはどうしても理解できませんでした。
もう一点、これは「物語上の通知の設定」についての些細な疑問なんですが… ゙16歳の誕生日に届く政府通知″ってことだけど、同じ生年月日の相手と組まれるわけではないのだから、どちらか一方には何日も、年齢差によっては何年も前に!通知が届いてるはず。そうなると、パートナーを先に知った方は会ってみたくなるってぇのが人情ってもんだと思うんだけど、そういった行為はやっぱり禁止されてるんだろうか?だってそこでもう会っちゃったら片方の通知の意味ないもんねぇ…?
映画ではその辺りのことは語られていないけど、葵の前に蒼佑が現れたタイミングとかから考えると、まぁそぉゆうことなんでしょうね…
原作マンガでは詳しく説明されているのかもしれませんが、ねんねこはマンガをほとんど読まないのでどうなのか知りません。
※ 注:全く読まないわけではありません。稀にハマったとなるとそれはそれはもう徹底的で全巻揃えます。今年その ゙稀に″が一作ありましたが、それはまた別の話。
あっ!言い忘れてましたが、この映画『恋と嘘』は、原作マンガの『恋と嘘』とは設定の異なるアナザーストーリーです。原作は ゙ネジくん″という男子高校生が主人公の物語らしいです。
それを女の子が主人公の物語として映画化したわけですが、その主人公を演じた森川葵さんという人は、なんとも不思議なタイプの女優さんだと思います。
ねんねこが最初に彼女を覚えたのは、門脇麦さんとW主演だった『スクールガール・コンプレックス〜放送部篇〜』('13)という映画で。以降『チョコリエッタ』『金メダル男』『花戦さ』などなど…主演・助演と実に多くの映画で目にしているのですが、観る度に違う人のようだし、中にはそれが森川葵さんだと気づかないことさえあるんです。顔はちゃんと知っているはずなのに、こんなことってあるんでしょうか?あるんですねぇ…
この『恋と嘘』を観てもわかるように、ぱっと見は普通のカワイ子ちゃんにしか見えないのに、カメレオン俳優って部類の人なんですかね?
今のところ ねんねこ一番の「お気に入り森川」は、三上博史さん主演のTVドラマ『遺産相続弁護士 柿崎真一』での小悪魔的な役柄。とっても魅力的でしたし、尚且つこの映画の ゙仁坂葵″役と同じ子だとはやはり思えないのでした。
今後の化け方が楽しみであり、そして将又ねんねこはそれが彼女だと気付けるんでしょうか!?
− 了 −