2017年10月09日

国際ドキュメンタリー映画祭(4)『夜明けの夢』 『航跡(スービック海軍基地)』

2年に1回の山形の映画祭だから街の様子がずいぶん変わっていた。なんだか全体的に暗くなったみたいだ。

交差点の角にあったコンビニがなくなっていて道にまよったり、気に入っていた団子屋の池田屋が見あたらなかったりと様変わりしていた。

🎬『夜明けの夢』メヘルダード・オスコウイ監督/イラン/2016/76分

イランにある少女たちの更正施設は高い塀と鉄の門の中にある。彼女たちは窃盗、麻薬、殺人などの罪を犯してここに入って来た。そこでは自分たちの苦労をお互いに理解しあって暮らしている。時には笑ったり、踊ったりと楽しいひと時もあった。

メヘルダード・オスコウイ監督さんは誠実な問いかけで彼女たち一人ひとりと対話をしていた。家庭内の事情は聞いていて非常に辛いもので、「将来の夢は ?」と聞くと、即座に「死ぬこと」と言う子もいた。この施設が「天国」で家には帰りたくないと言い切っていた女の子がたくさんいた。

家庭内の性暴力、麻薬の常習の両親、そのせいで自身も麻薬に溺れた子、車の窃盗、売春を強要されていた父親を殺してしまった子、罪はとても大きいがそうしなければ生きていけなかった理由も見え隠れしていた。

監督さんはそれまでに少年院や刑務所のドキュメンタリーを取っていたが、少女の施設にカメラを入れるまでには、申請から2年かかったと話してくれた。撮る条件には撮影後は絶対個人的に接触しないことが含まれていた。

その後、施設から「7人の少女が学校に行きたいと希望しているが金銭的な援助を」という願いがあったので監督さんはいろんな人に寄付を募って協力した。現在、2人の女の子が大学生になっている。

出てくる女の子たちはいっぱい悩みを抱えているはずなのに、すごく魅力的で瞳がキラキラしていた。

🎬『航跡(スービック海軍基地)』ジョン・ジャンヴィト監督/アメリカ、フィリピン/2015年/277分
 
フィリピンを40年以上にわたって植民地支配した米国は1946年にフィリピンに独立を与えたが、スービック海軍基地やクラーク空軍基地を米軍基地として残した。

ルソン島にあるスービック湾は、米国の東アジアにおける最大の米海軍基地だったが、1991年のフィリピン上院決議に基づいてフィリピンに返還された。しかし、湾の周辺は残留化学物質や石綿、PCBなどによる環境汚染をもたらしている。

10年以上の調査によって、公害に苦しむ住民の実態と同時に、住民たちを支援して被害を告発するNGOの活動を追っている。

2011年の山形『 飛行機雲(クラー空軍基地)』の監督さん。まったくひどい話だ。原一男監督の『ニッポン国VS泉南石綿村』にも石綿の被害は貧しい人々が被害を受ける構図だったが、ここもスービックの海が引き潮の時に貝や小魚をとって食べていた貧しい人々が最大の被害を受けていた。

内容はアメリカと沖縄の問題を抱える日本にとって、無関心ではいられないし、そのやり方に憤りを感じるが、いかんせん長時間辛いだけの映像に身が持たなかった。

posted by ミッキー at 22:56| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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