弁当屋に勤めていた江ノ島カナコ(佐藤江梨子)は人員整理で突然首になってしまった。彼女はヒモ同然で俳優志望の35歳の男・ヒデオ(瑛太)とかれこれ10年一緒に住んでいるが、彼は「カナコをカンヌの映画祭に連れて行ってやる」といつまでも夢のようなことを言っているようなダメ男だった。
ヒデオは7年前に大河ドラマに出たことがあったが、その後は実録映像やエロ映画の役はすべて断ってしまうので生活はカナコにかかっている。
彼もカナコが無職になっては生活がやっていけないと焦り、「プロレスの練習場で求人張り紙があったぞ。面接に行ったらどうだ?カナコが勤めたらただで見せて貰えるかもな」とプロレス好きなヒデオは一生懸命進める。
プロレスのことなんかちんぷんかんぷんのカナコにいろいろ知恵をつけて面接を受けさせたが……。
こんな2人の生活状態で10年はさずがに辛い。辛いはずだがカナコはヒデオの「憎めない」ノー天気ぶりに「まあ、いいわ。何言っても効き目無しだし、私が頑張ればいいわ…」と半分あきらめていたのだろう。「夫婦喧嘩は米びつから」と古い格言があるが口汚い喧嘩シーンは無し。
意外とプロレスの下働きはすんなりと決まり、山盛りの臭い衣類の洗濯や掃除などせっせとやるカナコはプロレス修行中の男たちに好評で、徐々に生き生きしてくるカナコに、複雑な気持ちになるヒデオ。
そこから俄然と面白くなる。
プロレスのことなど全然わからないし、有名な選手の名前もしらないミッキーだがカナコの健気さとヒデオに対しての深い愛情、そしてヒデオの青臭さ、向こう見ずな行動に愛着を覚えた。
☆『百円の恋』の武正晴監督による新作映画。『百円の恋』の脚本家・足立紳の実話をもとに制作したオリジナルストーリー。
☆この作品を公開した1週間後に新垣結衣×瑛太 W主演で『ミックス。』が公開される。プロレスから卓球に。瑛太さん、お疲れ様。