東京近郊の町にある温水プールで監視員をする水原(今村樂)は広い日本家屋に1人暮らし。毎日同じことを繰り返す生活で、彼が聞き入っているニュースはおぞましいテロの事件ばかり。
そんな単調な日が続く中で、同じ系列のプールに応援に行くことになる。同僚の白崎(渡辺紘文)も一緒で、強引に「水原さんの車に同乗させてよ」と言ってきた。
翌日から行き帰りが彼と一緒になる…。
去年の 『七日』 の渡辺紘文さん、そこでは一言も口を聞かなかったが、今度は一人でペラペラしゃべりまくり、同僚からも嫌われている男・白崎を演っている。この白崎のしゃべりがおかしくて、クスクス笑いながら観てしまった。
問題は寡黙な水原で、いつも駐車するところが古いクラシックカーが2台入っている車庫の前。そこに車を平然と駐車するのだから、この場所も自分の土地で古い車も自分の家のものだろう。相当な金持ちだったと想像する。
この男の持つ不気味さは尋常ではないが、そんなことにおかまいなくずんずん近寄って行く白崎の無神経さも違和感があって面白い。
☆『七日』のおばあちゃんの平山ミサオさんも♪シューベルトの音楽も健在だった。
この『七日』も武蔵野館で上映されていたが、今週(今日)までだ。この作品をDVDで見るというのは「我慢大会」になりそうなくらいだから、よほど覚悟して見ていただきたい。どこかで上映するニュースを見つけたなら是非、大画面でご覧いただきたい。
『プールサイドマン』も『七日』も東京国際の日本映画スプラッシュ出品作で『プールサイドマン』は作品賞を受賞した。
🎬『七日』渡辺紘文監督・主演・脚本・編集
モノクロで台詞は一切なし。主演は牛を飼う男(渡辺鉱文)ともくもくと食事するだけのおばぁちゃん(平山ミサオ/監督さんの祖母)。
そんな牛飼いの男の日常(七日間)をカメラはほとんど男の後ろ姿を追いかけている。
男のウィークデーは、朝起きる、顔を洗い歯を磨く、ゴミ捨てにいく、湯を沸かしインスタントコーヒーを入れる、朝食をとる、布団を干す、相当遠い牛舎に歩いて出かける、牛舎の掃除、乳しぼり、地下に潜って肥料?を運ぶ(この作業がわからなかった)、鉄塔の見える道端で一服、家に帰り晩ご飯を食べる……音楽は沖縄民謡のような激しい音の曲と不気味な声や、それとは正反対のシューベルトの歌曲が流れる(菩提樹、春の夢など)。そしてまた朝…
納豆ご飯が卵がけご飯に変わるぐらいで同じ日が続く。土曜は墓参り、日曜は壁を相手にキャッチボール。
途中退場する人、数人いたが、ミッキーはこの男の背景から、東日本大震災で牛舎の壁に遺書を書いて自殺した酪農家の男と重ね合わせていた。
もし彼が生きていて生活しているなら、ここは再生の場所としてこの牛舎に雇われているのだと勝手にストーリーを作っていた。何の説明もないだけに自由に映画に入り込むことができた。