中国湖南省の地方都市に住む16歳の高校生リンセン(ヤオ・ホングイ)は、広東で働く母親と離れて、祖父母の家で暮らしていた。高校の担任は生徒たちがスマホにのめり込んでいて受験に支障があると思い、学級のスマホを一時的に没収。
彼女の親友メイズー(ヤオ・ファン)は「あれを盗んで売ろう」と言い、リンセンが担任のところから数台盗み出す。その金で美容院に行くが、性病持ちの容院経営者や従業員に酒を飲まされて……。
中国の国事情をえぐり撮っている作品だった。
2005年のジョウ・ハウの『高三』のドキュメンタリーで観た高校三年の机(机には教科書が山積みになっている)や、老人を景品で誘い込んで高価なものを売りつける商法、エイズなどの性病の蔓延、子を置いて出稼ぎ、など、リンセンやメイズーの周辺で起こる様々なことが自然なストーリー展開の中で描かれていた。
🎬『ベトナムを懐(おも)う』グエン・クアン・ズン監督/ベトナム/88分/日本初上映/Hello Vietnam
時は1995年、舞台は雪の降るニューヨーク。
ベトナム難民でニューヨークに来た息子のグエンに呼び寄せられてニューヨークの高級な老人ホームに入っているトゥー(ホアイ・リン)は、亡き妻の誕生日と荒神の祭事をしたくて無断で老人ホームを抜け出して、息子と孫娘タムの住むマンションに来た。
ところが孫娘は彼氏とイチャイチャの最中で「ノックぐらいしてよ!」とけんもほろろ。彼氏の誕生日のために作ったケーキを亡き妻の誕生日ケーキと勘違いした祖父に「窃盗だから警察を呼ぶ」と受話器を取る孫娘。
他にもいろいろと食い違いが起こり……
ニューヨークで暮らす三世代のベトナム人家族を通し、それぞれの祖国への想い、価値観の違いを描いていると紹介文に書いてあったが、なんとも大袈裟でわびしい作品だった。
世代は変わっても、住む国が違ってもちょっと極端すぎるニューヨーク育ちの孫娘の態度や言葉にイライラした。もちろん全部そうではないが、ちょっとしたことで警察を呼ぶというセリフには驚く。
最後まで救いはなく、後味の良くない作品だった。