
若い時に天才バレエダンサーとして人気を得ていたが、90年代にある事故で引退を余儀なくされたアレクセイ・テムニコフ(セルゲイ・ベズルコフ)。それから20年たった今は手広くバレエ教室を営んでいるが、傲慢な性格で周りとは上手くいっていない。事故の後遺症で体調が悪化する中、思わぬ人生の選択を突きつけられるアレクセイだった。
本当のことを言うと対人関係がギクシャクする。だからあまり痛烈なことは言わないようにしている私たち。だけどアレクセイは絶対に自分に「嘘」をつかない。人にも絶対にお世辞はもちろん言わないし思ったことをそのまま言う。よっ ぽど人間ができているか、すごく年下以外は彼を避けるようになる。
だが観ているこちらは彼の中年ながらも魅力的な風貌から出てくる「毒を含んだ言葉」に慣れてきて、もっと痛烈に!! と彼の口を借りてだが、ミッキーは胸がすく思いがした。
態度を崩さない主人公と、ラストのバレエの舞台シーンが素晴らしくロシア文化の奥深さも感じさせてくれた。

学校で仲間外れにされている10歳の少女ソン(チェ・スイン)。勉強もスポーツも抜きん出たものはなく、性格も真面目で大人しいために、ひどいイジメではないが、いつも一人ぼっち。
明日から夏休みという日に、掃除当番を無理やり押し付けられて一人せっせと掃除していたら、そこに二学期から転校してくるために学校に手続きに来た活発でかわいい少女・ジア(ソル・ヘイン)と出会った。同じ学年で同じ組みになるらしい。
この近所に住むおばあちゃんのところにソウルから引っ越してきたそうだ。夏休みの間ずっと2人はソンの弟ユン(カン・ミンジュン)も含めて親しくなっていく。
監督さん来名。ご自身の小学6年の時の経験を基に作られた作品。
ソンの家族は小商いをする母親、技術者で酒飲みの父親、かわいい弟(4歳。あっぱれな、名演技!)の4人暮らし。裕福ではないが真っ当な両親だ。
ソンにお友達できて楽しい夏休みも、学校が始まるとソンの 「学級内の位置」 を知ったジアが手のひらを返すようにソンに冷たくあたる。
これはどこの国においても起こり得る「子ども世界」の出来事だ。ニュースで報じられるいじめによっての自殺があるがどんないじめ方だったかは具体的には伝わってこない。
この映画のいじめはそんなに酷いものではないと感じたが、「受けた」本人の痛みは計り知れない。きっとこの作品を親子で見てもらいたいと願った監督さんの配慮ではなかったかと感じた。
☆客足はあまり良くなかったが、この作品がクロージングで上映されて本当に良かった。
☆シネマジャーナルHP スタッフ日記 あいち国際女性映画祭レポート
http://cinemajournal.seesaa.net/article/453370121.html